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Booksのページ「あ〜」

 

 

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あ〜/か〜/さ〜/た〜/な〜/は〜/ま〜/や〜/ら〜/わ〜

 

タイトル・著者
その他

感想メモ

O-13

「シベリアの至宝バイカル湖」
ユーラシアブックレットNo.40
大田憲司
東洋書店

【2009年8月5日読了】

バイカル湖には一度行って見たいのだが、なかなか機会がなくて、行けないでいる。バイカル湖について入門篇のような冊子があったので読んでみた。バイカル湖の最寄のイルクーツク市に関しても、ちょっとした観光案内のようなものが書かれていたので、興味を引かれた。

O-12

「グーグーだって猫である2」
大島弓子
角川文庫

【2009年3月15日読了】

大島さんの猫生活エッセイ第二弾。丁度大島さんが大病で入院した時のことが書かれていて身につまされます。しかし、退院してからいきなりまた猫が増えてしまう大島家。しかも2匹も。全部で4匹ですよ。びっくりです。このシリーズは4巻まであるそうなので、そのうち続きが読みたいです。

O-12

「グーグーだって猫である1」
大島弓子
角川文庫

【2009年2月25日読了】

大島さんというとサバという雌猫を飼っていることで有名だったが、そのサバが13年ちょっとで亡くなってしまい、その後にやってきたのがこのグーグーというオス猫である。グーグーだけでなくビーという猫も来て、大島さんと猫達のゆったりとした日常生活が垣間見れるエッセイコミック。続きも楽しみ。

O-11

「配達あかずきん」
大崎梢
東京創元社
(ソフトカバー)

【2009年12月20日読了】

成風堂書店事件メモシリーズ第一弾。実は第二弾である「サイン会はいかが」を先に読んでしまっていた。まあどちらを先に読んでも問題はないが、やはり第一弾から読んだ方が、話に入りやすい。5編の短編が入っているが、「配達あかずきん」と「六冊目のメッセージ」がよかった。本屋さんの仕事は大変ですね。

O-11

「サイン会はいかが?」
成風堂書店事件メモ
大崎梢
東京創元社(単行本)

【2009年2月3日読了】

初読み作家。これは書店事件メモシリーズの第三弾。シリーズ物は1冊目から読みたい人間なのだが、なかなか手に入らないので、諦めて3冊目から読んだけれど、これだけ読んでも気にならない作品。杏子と多恵と店長が結構いい感じで仕上がっている。タイトルになっている作品はちょっと強引かな、という気もしなくもないが、最後に入っていた話が気に入った。前の2冊も是非読んでみたい。

O-10

「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」
太田直子
光文社新書

【2009年1月20日読了】

字幕は翻訳とは違う、ということで、ちょっと翻訳を齧っている人間として、興味を持って読んでみた。翻訳と字幕の違いだけではなく、翻訳でも感じている生きている日本語の変さ加減とか、どこまで説明しなくてはならないのかとか、日頃疑問に思っていたことを、作者も疑問に思っていることが発覚。大学ではロシア語が専門だったそうで、ロシアのことにも触れていた。吹き替え翻訳と字幕翻訳の違いなども分かり、軽い感じで読める。

O-9

「説きふせられて」
ジェーン・オースティン
岩波文庫

【2010年2月20日読了】

ジェーン・オースティンは6つの長編小説を書いているが、これは最後の作品。どの作品も良家の女性と軍人や貴族の男性との心の通い合い、人間模様を描いているのが特徴。しかも、社会的な事件は殆ど起こらないので、18世紀のイギリスの田舎の生活が良く分かる。しかし、舞台を現代に移しても、同様な人間関係が見られるので、そういう意味でも面白い。

O-8

「かくカク遊ぶ、書く遊ぶ」
大沢在昌
角川文庫

【2011年1月2日読了】

今年の記念すべき読了1冊目。大沢さんのエッセーをたくさん集めた本。ただし、書かれた順序ではなく、本人が並べたい順番で並べられている。作品を読んで、作者の人となりに触れたければ、是非読んでみることをすすめる。どんな人が書いているのか、気にならなければ、読まなくても作品の雰囲気は壊れない。

O-8

「陽のあたるオヤジ」
大沢在昌
集英社文庫

【2010年10月19日読了】

大沢さんのエッセー。この人の作品の原体験が解説付き読める感じ。面白く読んだ。これが書かれてから、更に15年ほど経った、今の大沢さんのエッセーも読んでみたい。

O-8

「夢の島」
大沢在昌
双葉文庫

【2010年6月7日読了】

相変わらず設定が無茶苦茶だが、主人公の青年が困難に立ち向かい、自分の恋人と親友を信じて目的に突き進むタイプの話。今回は頼りになる兄貴格の人間もいた。まあ、読了後に素直に自分もがんばろうと思える人とこんな作り話、そうそうないよな、と思う人がいると思う。私はひねくれているので、後者かも。

O-8

「不思議の国のアルバイト探偵」
大沢在昌
講談社文庫

【2010年4月28日読了】

これでシリーズ作品を全部読了。今回は特に冴木親子の絆の太さを見た感じ。実際には血のつながりは無いと薄々判っているのに、本当はどうなのか悩んでいる様子もそこまで見えないし、能天気なようでいて、普通の高校生のように出席日数に頭を痛めたりしててほほえましい。でも、実際にはあり得ない設定ですな。

O-8

「アルバイト探偵 拷問遊園地」
大沢在昌
講談社文庫

【2010年4月26日読了】

シリーズ5冊目。私立探偵である父親の仕事を何となく手伝っている間に、どんどん精神的に成長した隆だが、今回は男のプライドを傷つけられる事件に巻き込まれる。普通の高校生はこんなドンパチやったり、目の前で人が死んだりしたら、普通ではいられないと思うのだが。この作品の後、長いことシリーズ作品が書かれていない。

O-8

「東京騎士団(ナイト・クラブ)
大沢在昌
光文社文庫

【2010年4月18日読了】

正直な話、途中飛ばして読んだのだが、暴力シーンはちょっと読めなかった。こんなヒーローが実際にいても、友達にはなりたくない。しかも主人公が好きになった異性が片親だけだが、自分の血の繋がった妹、という設定もはまりすぎている。痛快アクションヒーローならいいのかもしれないが、かなり読んでいて引いてしまった。

O-8

「調毒師を捜せ」
アルバイト探偵シリーズ
大沢在昌
講談社文庫

【2010年4月1日読了】

アルバイト探偵シリーズ。このシリーズはどれも長編だと思っていたら、これは短編集だった。収められている4つの作品全てがシリーズ物。相変わらずの親子が頼もしいのか、ボケなのか?娯楽物としてはかなり楽しめるシリーズである。

O-8

「狼花」
大沢在昌
光文社文庫

【2010年3月19日読了】

シリーズ物特有の、いきなりこの作品から読んだのでは、今一つ分かりにくいストーリーだったかもしれない。ただ、これまでの数作品でずっと鮫島と対立してきた同期の香田が辞表を出した。また、南米日系人だと思っていた人間が、元警察官だったと判明。しかし、その人間も死んでしまった。晶がほんの少しだけ、電話での会話という形で出てきただけというのが淋しい。

O-8

「心では重すぎる」上下
大沢在昌
文春文庫

上巻【2009年10月22日読了】
下巻【2009年10月
25日読了】
佐久間公シリーズ。シリーズの最初の頃は20代前半で親友・沢辺と遊び歩いていた感があったが、ここにきてかなりシリアスな感じが漂っている。既に40代になろうとしているのだから、当たり前か。新しい佐久間公シリーズはこの作品の前作「蛍雪」で既に書かれているのだが、読了済みなのに内容に記憶が無い…。手元に本も無いので読み返すことも出来ない。しまった…。シリーズ物は順番に読まないとヤバイ、という典型ですね。沢辺の異母妹と結婚していたとは知らなかった。これも「蛍雪」には書かれていたのだろうか。「血統者の追跡」に出てきた彼女だとは思うんですけど。再読する必要あり、かもです。

O-8

「追跡者の血統」
大沢在昌
角川文庫

【2009年7月11日読了】

佐久間公シリーズ第三弾。年代的に次の作品となる「蛍雪」までが長く空くので、そういう意味ではとりあえずのまとめ的な作品。失踪人調査のプロである佐久間が親友の沢辺の行方を追う。前の作品の登場人物やエピソードなども出てきて、ますますまとめ的な感じがぬぐえない。ラストシーンは感動的かもしれないが、もう少し説明があっても良かったかも。

O-8

「漂泊の街角」
大沢在昌
角川文庫

【2009年6月2日読了】

失踪人調査のプロ佐久間公シリーズ第二弾。相変わらず相棒とも言える沢辺がいい味を出している。そんなことあり得ないだろう?というシチュエーションもある。まだまだ若い佐久間。恋人が出てこないと思ったら、ヨーロッパに留学に行っていた。これを書いた時は大沢さんも若かったらしい。続きも読んでみよう。

O-8

「帰ってきたアルバイト探偵」
大沢在昌
講談社文庫

【2009年4月15日読了】

アルバイト探偵シリーズ最新作。前作との間に10年以上の間が空いていて、その間世間もすっかり変わってしまい、生活様式から違うというのに(一番の違いは携帯とネットだと思う)、登場人物とその年齢や職業はそのままで、時代だけを今に移動させてしまった大沢さんは凄い。ちょっと軟派な落第高校生の隆君もさすがの冴木涼介も作品を読ませるだけの力となっている。

O-8

「大極宮」
大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき
角川文庫

【2008年12月24日読了】

大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆきが所属している大沢オフィスの公式サイトの中の毎週の更新分+エトセトラ。2001年3月から2002年2月までの週刊大極宮が収められている。宮部さんの語るげーむの話も分からないし、京極さんの妖怪も分からん。大沢さんのゴルフも分からん。でも、なんとなく読んでて楽しい裏話。

O-8

「感傷の街角」
大沢在昌
角川文庫

【2008年12月13日読了】

失踪人調査のプロ、佐久間公シリーズ第一作。実はこの主人公の別の作品(蛍雪)を先に読んでしまい、それならシリーズを最初から読もうと思ったのだが、「蛍雪」では仕事も変わって、年もとっていたのか、同じ人間とは思えない感じで、最初は戸惑った。シリーズの途中の部分を読んだら、主人公の変化のことも分かるのかもしれない。

O-8

「銀座探偵局」
大沢在昌
光文社文庫

【2007年7月10日読了】

すいません。読んでおいてなんですが、軽すぎて私には付いていけませんでした。大沢さんの作品は読みやすいけど、読んで感動するものもあるし、「けっ」という感想を言いたくなるものとがあるんですが、今回は私にとっては、残念ながら後者になってしまったもよう。軽くて読みやすいものを、という人にはお勧め。

O-7

「霧の橋」
乙川優三郎
講談社文庫

【2007年6月4日読了】

第七回時代小説大賞受賞作品。初読み作家だが、作品数も多く、これが文学賞の受賞作品だったので、入りやすいかなと思って選んでみた。元々は一関で武士だったが、今は江戸で紅屋の主人となっている惣兵衛。人生が些細なことで変わってしまうことを身をもって知っていて、自分も他人の人生を変えてしまっていることも意識している。その心の動きが丁寧に書かれている作品だと思った。

O-6

「ダーリンは外国人 with baby」
小栗左多里
メディアファクトリー

【2008年10月25日読了】

「ダーリンは外国人」シリーズ。子供が生まれてからの1年間の話が書かれている。どこの夫婦でもはじめての子育ては新鮮だけれども、国際結婚夫婦だと、もっと色々発見というか、実験とかもあるわけで、母語をどうするかとか、個性がどうなるのかとか、祖父母との関わり方とか、面白く読んだ。
O-6 「英語ができない私を
せめないで!」
小栗左多里
だいわ文庫

【2007年4月25日読了】

「ダーリンは外国人」で有名になった漫画家の小栗さんの英語勉強遍歴を書いたもの。確かに日本にいて、英語を使う環境がない、または英語で伝えたいことがないと(英語に限らず他の外国語も同様だけど)、なかなか上達しないと思う。私も同じ理由でロシア語を勉強するためにモスクワに住んでしまったものだから、あのまま日本でロシア語の勉強をしていたら、小栗さんと同じような経過をたどったのでは?と思われる。今からもう一度英語をやりたいけど、どうしようかな〜と思っている人にも読んでもらいたい本かもしれない。
O-5

「家日和」
奥田英朗
集英社文庫

【2011年4月10日読了】

柴田練三郎賞受賞作品。家族、家庭に焦点を当てた短編集。以前の大家族とは少し違った視点からのアプローチか?ちょっと揶揄しすぎている点がなきにしもあらずだが、確かにこんな主婦とかいそうだな、いてもおかしくないな、と思いながら読んだ。
O-5 「ガール」
奥田英朗
講談社
(ソフトカバー)

【2010年3月14日読了】

「マドンナ」がおじさんの視点からの作品だとすれば、「ガール」は30台の一人でがんばる女性の話。皆色々考えてるのだろうが、現実は厳しい。40台になっても同じことを考えている。男性も女性もがんばりましょう。
O-5 「マドンナ」
奥田英朗
講談社文庫

【2010年3月12日読了】

いわゆる中年のおじさんのひとりよがりな感じの良く出ている短編集。おじさん達の気持ちの揺れとかよく描かれている。若い女性の部下に心ひそかに気持ちが持っていかれたおじさん、その想いを妻に見透かされるおじさん、会社ではない場所でも自分が偉いと勘違いしているおじさん、色々会社員の悲哀が描かれていますが、笑えます。男性が読む場合と女性が読む場合ではかなり感想が違うかも。年齢によっても違うと思う。
O-5

「空中ブランコ」
奥田英朗
文芸春秋(ソフトカバー単行本
)

【2007年5月21日読了】

ちょっと変わった精神科医伊良部先生が主役の2巻目。好奇心が旺盛で、注射フェチ。相変わらず看護婦のマユミちゃんもいい味出してる。精神科にかかる患者さんの症状も様々なものがあるということが判明。患者よりも治療と称した遊びに熱心になってしまう医者というのもなあ…。でも、そのおかげで患者が気晴らしになるのであれば、言うことはないってことでしょうか?
O-5 「イン・ザ・プール」
奥田英朗
文春文庫

【2006年12月9日読了】

ドラマにもなった作品。こちらもこの作者のものは初読み。面白い、とは聞いていたものの、ここまで度肝を抜かれると言うか、常識破りな医者だとは思ってもなく。しかし、かなり簡単に読めてしまいました。この作品の続編である「空中ブランコ」が第131回の直木賞を受賞したとのことなので、そちらも読んでみたいと思います。
O-4 「バルト海のほとりにて」
小野寺百合子
朝日文庫

【2006年11月20日読了】

日本にスウェーデンの児童小説をたくさん翻訳して紹介している小野寺百合子さんが、どのようにしてスウェーデンとの関係が出来たのか、当時(昭和10年代)に外国に赴任するご主人に付き添って赴任地に行くことの大変さ、武官として外国に赴任していたご主人の仕事の様子など、女性の立場からの実話が語られています。興味深かったですね。
O-3 「陰の声」重蔵始末()長崎編
逢坂剛
講談社文庫

【2010年8月17日読了】

体調不良で寝込みながら読んだ本。しかし、読みやすさも手伝って、シリーズ物で先が気になることも重なり、かなりさくさく読めた。長崎編も2冊目だが、次は蝦夷編に突入する。おしげを長崎から連れて江戸に戻るかどうか、気になるところ。しかし、次からは蝦夷編のはずだが、江戸に戻るのだろうか。
O-3 「道連れ彦輔」
逢坂剛
文春文庫

【2010年7月21日読了】

逢坂剛の時代物新シリーズ。御家人の三男坊だが、家を出て長屋住まいをしている彦輔に道連れの仕事を持ってくる藤八など脇役もしっかりしている。短篇連作だが、話が繋がっていて、最終話の終わり方を見ると、次の巻では新しい仲間が出来ているかもしれない。先が楽しみ。
O-3

「兇弾」
逢坂剛
文藝春秋
(単行本)

【2010年7月3日読了】

ハゲタカシリーズ第4弾だった「禿鷹狩り」の後日談。神宮署の悪徳刑事禿富警視(死後2階級特進)の死後、別居していた妻が、神宮署に立てこもり、岩動警部と打ち合いの末死亡。そのどさくさにまぎれて御子柴警部補が裏帳簿をマスコミへ。出来過ぎのような話で現実感はないが、エンターテイメントとして読むには面白かった。
O-3

禿鷹狩り」上下
逢坂剛
文春文庫

上巻【2010年6月10日読了】
下巻【2010年6月12日読了】

神宮署の悪徳刑事禿富シリーズ第3弾。衝撃のラストが待っているとのことで、楽しみに読んだ。同じ神宮署に異動してきた岩動刑事と嵯峨刑事のコンビが得体が知れない感じで、禿富の悪事を何とか明るみに出したいと思っているらしいのだが、本人達も同じくらい警官らしくなく悪い行動が目立つ。渋六の2人もいい味出している。シリーズ第4弾として、サイドストーリーが用意されているらしい。
O-3 「嫁盗み 重蔵始末4」
逢坂剛
講談社文庫

【2010年5月20日読了】

近藤重蔵シリーズ第4巻。今回は長崎編。前の巻を読んでから、かなり経っていて、最初はストーリーを忘れていたが、読んでいるうちに思い出した。このシリーズの魅力は、やはり重蔵の存在感である。それを付き人?の団平が厚みをつけているというか。いいコンビだと思う。しかし、何故か女性に人気の重蔵。これから蝦夷編に続くそうなので、先も楽しみ。
O-3 「じぶくり伝兵衛」
逢坂剛
講談社文庫

【2008年9月10日読了】

近藤重蔵シリーズ第二弾。読みやすく、作品自体も面白く無理がない。本当にこのシリーズの前に時代物を書いていなかったとは思えない逢坂さんである。びっくりしました。解説によると、この先、重蔵が火盗改から蝦夷関連の仕事に移る先まで書き続けたいとおっしゃっているようなので、楽しみに続編も読んでいきたいと思います。
O-3 「重蔵始末」
逢坂剛
講談社文庫

【2008年8月19日読了】

逢坂剛初めての時代物長編。長編と書いたものの、5つの連作。この表紙を描いたのは作家の実父とのこと。ちょっとびっくり。逢坂さんはスペイン物が有名なだけに、時代物を書くとは思ってもみなかった。しかし、なかなかどうして、しっかり時代考証もされていて、素晴らしい。有名な鬼平と同時期に同じ火盗改の与力としての近藤重蔵を書いたもの。続きが楽しみである。
O-3 「銀弾の森」禿鷹3
逢坂剛
文藝春秋

【2008年1月22日読了】

やくざよりも手の付けられない悪徳刑事禿鷹シリーズ第3弾。禿鷹こと禿富が好き勝手してるだけのような。逢坂さんは話は面白いかもしれないけど、女性の造型が下手(というかフェミニストに睨まれますよ的な、なんとも男からしたら「こんな女に存在して欲しい」っぽい、男性に都合のいい女ばかり書いてる気がする)。その女性に関する部分だけでも読んでるとイライラしてくるので、もしかして、もう逢坂さんは読まない方がいいのかも、と思うこともある。第4弾も出てるけど、無理に入手してまで読まなくてもいいかも。
O-3 「ノスリの巣」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年10月28日読了】

「百舌シリーズ」第五弾の作品。とはいえ、百舌は出てこないし、シリーズの最初からの登場人物も、前作までで結構亡くなっているので、核となる登場人物が「百舌シリーズ」と重複している、別の作品、と言った方が良いかも知れない。そういう気持ちで読めば、結構面白かった。後半の終わり近くにならないと、真実が暴露されないし、どんでん返しも多く用意されている。
O-3 「よみがえる百舌」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年10月22日読了】

百舌シリーズ第4弾。分厚かったです。600ページあります。でも、一気に読ませる内容で、特に後半はどうなることかとドキドキしました。しかしシリーズ第1弾からの登場人物が死んでしまったりして、これからこのシリーズはどうなることやらと先を心配してしまいます。警察の腐敗を暴いてくれるのか、結局は闇に葬るのか、個人は無力ということも感じさせる作品。しかし、男性作家だからか、女性の言葉が必要以上に丁寧で違和感を感じることも。それとも私が丁寧ではないだけか。
O-3 「砕かれた鍵」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年7月7日読了】

公安シリーズ4巻目。百舌シリーズとしては3巻目(?)。警察の腐敗とか、暴力シーンが嫌で読まないでいたのだが、読み始めたら止まらなくなった。はやり筆者の力量がものをいう。人間関係や事件に関して、納得できないものも多いが、それが逆にこの作者の小説の組み立て方なのだからしょうがないのかもしれない。ついでだから、百舌シリーズの最新作も読んでみるつもり。
O-3 「幻の翼」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年6月24日読了】

公安シリーズ3巻目。百舌シリーズとしては2巻目。前作で死んだはずの百舌という名のテロリストが復活?まあ、それも死体が上がってないから、さもありなんというパターンで。事件の現場も前作と同じ精神病院で、結局は前作ではお終いにできなかった部分を改めて書いた感じでしょうか。でも倉木と美希のシーンは何故あそこでやらなきゃいけないのかが不明。別にやらなくても話の筋には影響なし。そこら辺が納得できない。
O-3 「百舌の叫ぶ夜」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年6月21日読了】

公安シリーズ2巻目。百舌シリーズとしては1巻目だそうだ。歌舞伎町で起こった爆発に巻き込まれて死んだ女性が公安警察官の妻だったことが発覚し、もう一人の死亡者も左翼系の人間だったことから、彼を狙っていた人間もいた。別なところでは、暴力団がテロリストを片付けたが、テロリストが記憶喪失となって復活。謎が謎を呼び…という話。しかし、思いっきり男性が書いたお話、という印象。 そんなつもりはないかもしれないけど、明星という女性警官の扱い方が気になる。
O-3 「裏切りの日日」
逢坂剛
集英社文庫

【2007年4月15日読了】

逢坂剛の公安シリーズ第一弾。逢坂剛には悪徳刑事禿鷹を主人公にした禿鷹シリーズもあるが、こちらはもっと前に書かれたもの。先に禿鷹シリーズを読み始めてしまい、その後(つながりはないのだが)公安シリーズも気になって読み始めたもの。逢坂剛といえばスペインを題材にしたハードボイルドが有名だが、私的にはこちらの警察関連物の方が気に入っている。続きも探してこよう。
O-3 「無防備都市」
禿鷹の夜U
逢坂剛
文春文庫

【2006年11月5日読了】

禿富鷹秋(トクトミタカアキ)、通称禿鷹(はげたか)。神宮署の刑事にして、非道なことヤクザ以上。禿鷹シリーズの2作目。1作目を昨年読んで、続きがあることを知って入手したもの。他人に指図されることを嫌い、刑事なのに2人組で行動せず、ヤクザとつるんで飲み歩く。他の悪徳刑事と対立し、とことんやっつけるのは分かるが、ヤクザ以上に怖い存在、というのも凄いです。更に続きがあるようなので楽しみ。
O-2 「薬指の標本」
小川洋子
新潮文庫

【2007年3月28日読了】

「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の2つの話が入っている。前者はフランス映画の原作となったらしい。後者も設定が日本でなくてもかなり大丈夫な感じ。どちらも不思議な感じのする話。雰囲気がとても似ている。ファンタジーというのではないが、実生活の匂いが全くない。現実性に乏しいともいえる。静謐とした読後感が味わいたい方に。
O-2 「博士の愛した数式」
小川洋子
新潮文庫

【2006年8月6日読了】

記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦、その子供の間の関係を描いた小説。今まで9人もの家政婦をクビにしたいわくつきのクライアント。実際にこの主人公も1度は辞めさせられてしま う。博士の記憶が80分間しか持たないことを除けば、ゆっくりとした時が流れる小説、ということになると思うのですが、3人で思い出を重ねているようで、でも博士だけは毎回初対面の人とのやり取りとなっているというかなり読んでいる側にとってキツイ設定でした。でも、この家政婦母子が素晴らしいです。人間関係も柔軟に対応していて、このような人間性は良いと思いました。ちょっとしか出てこないけど、博士の義姉の存在感が圧巻です。
O-1 「ネクロポリス」上下
恩田陸
朝日文庫

上巻【2010年2月6日読了】
下巻【2010年2月7日読了】

物凄く不思議なファンタジー。何故かイギリスと日本の習慣や風習が交じり合って出来上がったかのようなV.ファーという国があり、そこの北西部に聖なる場所アナザー・ヒルがあり、ヒガンという行事を1ヵ月間に渡って行うために、V.ファーの国民の親戚である、東京大学の大学院生であるジュンがやってくる。現在の日本でも忘れられているような伝承やわらべ歌が形を変えてV.ファーに残っていたり、それらを上手く物語りに取り込んでいて、かなり面白く読めた。最初に手に取った時には、こんなに分厚い本を読むのに、どのくらいかかるのか不安だったが、2日間で読了した自分も凄いと思う。
O-1 「エンド・ゲーム」常野物語
恩田陸
集英社文庫

【2009年11月20日読了】

常野物語第三弾。第一弾の短編集「光の帝国」に収められていた「オセロ・ゲーム」の続編とも言うべき長編。「光の帝国」はかなり前に読んだので、内容を半分忘れていて、読み返してしまった。この作品は、常野物語のかなりダークな部分が書かれていた。しかし、これも常野物語の一部として認識しなければならないのだろう。シリーズはどんどん続くそうなので、他の作品も楽しみ。
O-1 「夜のピクニック」
恩田陸
新潮文庫

【2009年3月2日読了】

吉川英治文学新人賞、第二回本屋大賞受賞作。映画化された作品。映画は見ていないので何とも言えないが、ほぼ24時間の間の高校生の心の動きがうまく書かれている。恩田さんも学園物が得意だと思う。アメリカに行ってしまった友達の弟、という人物が効果的に登場。内容的にはあまりさわやかとは言えないものの、さわやかな学園物に分類できると思う。
O-1 「ユージニア」
恩田陸
角川文庫

【2009年2月14日読了】

それぞれの章によって、小説の形式が代わり、語り形式だったり、第三者の目によるものだったり、日記形式だったりする。慣れないと入り込めなくて、読了に時間がかかる。読んでいるだけで、知識がある人にはどこの都市だかすぐに分かるのに、わざわざK市とする作者の意図はどこにあるのか不思議。
O-1 「禁じられた楽園」
恩田陸
徳間文庫

【2008年11月10日読了】

推理ものは好きだが、ホラーは好きではない私としては、ちょっと読むのが辛かった。しかも長いし。途中まではそれなりに進んだが、最後の方は話がきちんと終わっていない印象が強く、読者がどうとでも受け取れるような感じになっており(しかもループ的な終わり方)、もう少し書き込んで欲しかった感がある。
O-1 「蒲公英草紙」
恩田陸
集英社文庫

【2008年9月30日読了】

「常野」(とこの)と呼ばれる一族に関するシリーズの1冊。彼らは通常の人とは違う力を持った人々で定住していない。それは遠目と呼ばれる未来予知の力だったり、他人の一生分の記憶を記録できる「しまう」能力だったりする。怖いような、それでいてなんだか暖かくなるような不思議なシリーズだ。是非読んで欲しい。
O-1 「クレオパトラの夢」
恩田陸
双葉文庫

【2008年9月12日読了】

「MAZE」という作品で主人公だった女言葉を使う綺麗な30代後半の男性で、バイである神原恵弥。彼が双子の妹を連れ戻すため、また秘めた仕事関連の調査のため北国を訪れるところから話は始まる。結構どんでん返しが多く、でも、最後の終わり方はどうかなあ、と思う。まあ、恩田さんの作品はいつも終わり方が良く分からないので、これもいつも通りといえばそれまでですが。
O-1 「茶と黒の幻想」上下
恩田陸
講談社文庫

【2008年8月23日読了】

学生時代の同級生だった男女2人ずつが、家庭や仕事から逃れ、Y島にやってきた。この4人の中には、元彼女と彼もいて、親友同士もいた。日常生活から離れ、Y島の自然を満喫しつつ、「美しい謎」と名づけられた日常の謎を会話によって解決し、更には元カップルが別れる直接の原因となった大学の同級生の生死にも言及される。それぞれの1日ずつを各人の目から通して語らせるという面白い趣向。色々考えさせられました。
O-1 「球形の季節」
恩田陸
新潮文庫

【2008年6月25日読了】

恩田陸の初期の作品(確か2作目か)。タイトルから中身が想像しにくい。別のタイトルの方が良かったような。最後の終わり方が今ひとつ納得できない。途中が良かっただけに残念。モダンホラーと書かれていたが、どっちかというとホラーではなく、ファンタジー?不思議な恩田ワールドが広がります。
O-1 「象と耳鳴り」
恩田陸
祥伝社文庫

【2008年6月21日読了】

「六番目の小夜子」に出てきた関根秋君のお父さんの、元判事である関根多佳雄(しかもミステリー・ファン)が謎を解決する連作短編集。秋君は出てこないけど、「六番目の小夜子」で言及されていた兄、春と姉、夏は出てきている。凄く不思議なのは、「六番目の小夜子」ではどこかの地方都市の旧家っぽい家に住んでいるはずの関根一家、こちらでは何故か東京近辺にお住まいのようである。もしも他にも彼らが出てくる作品があれば読んでみたい。
O-1 「六番目の小夜子」
恩田陸
新潮文庫

【2006年6月読了】
【2008年6月20日再読了】

2006年に読んだ作品を再読。再読の理由は「象と耳鳴り」を手に取ったら、主人公がこちらの話にも出ていたことが分かったため。読んだことは覚えていたけど、内容の細かいところまでは忘れていたので再読しました。
O-1 「MAZE」
恩田陸
双葉文庫

【2008年2月13日読了】

摩訶不思議な話。ミステリーというか、ファンタジーというか、霊体験というか…。よく分からない。男なのに女言葉でしゃべるバイセクシャルの恵弥(めぐみ)と同級生だった満、それにアメリカ人とアジアの西の端っこの現地人で、「どこにもない場所」を調べる…。なぜ日本人じゃないのに、日本語をしゃべれるのか、とかそういうことは置いておいて、恵弥と満のキャラが立ってます。恵弥は別の作品にも出てるらしいので、次はそれを読みたいと思います。
O-1 「三月は深き紅の淵を」
恩田陸
講談社文庫

【2008年2月2日読了】

この話は4話から成っているが、話の中で語られている「三月は深き紅の淵を」という本と、この本はちょっとづつ違っている。小泉八雲らしき人が登場したり、第四話になると、同じ恩田さんの別の作品である「麦の海に沈む果実」が部分的に出てきたりして(実際に、そちらの作品の中では「三月は深き…」という本が出てきているが、それはこの本ではなく、作品中に書かれている本のことらしい)、更にはやはり恩田さんの別の作品、「黒と茶の幻想」も出てきたりする。そして、「黒と茶の…」の中には、「麦の海の…」に出てくる登場人物について語られる、というしごく厄介なつながりがあるらしい。この作品だけを読んでも分からないので、次は「黒と茶の…」を読んでみようと思う。
O-1 「PUZZLE」
恩田陸
祥伝社文庫

【2007年9月30日読了】

なんだか不思議な感じの恩田さんの作品。祥伝社文庫の書き下ろしシリーズは他にも読んだが、書き下ろしという美味しい部分もあるものの、どれもかなり短くて(この作品も150ページくらい)、今一つかな〜という感じ。最後の謎解きの部分が、それなりに本文の部分で暗示されていて、確認する感じでつまらなかった。最初の方は結構どきどきして読んでいたんですけどね。
O-1 「Neverland(ネバーランド)」
恩田陸
集英社文庫

【2007年6月30日読了】

伝統ある地方の男子高の寮で、冬休みに居残りになった3人と通学組なのに、毎晩やってくる同級生の4人の年末までの7日間。高校生という特殊な社会の中の、更に特殊な寮。しかも年末の居残り組ともなると、独特の親しみの中、不思議な関係が生まれる。恩田陸は学園物が得意だという通説があるので、安心して読めた。やはりこの年代の特殊さが書かれていて、読後感はどこかさわやかだった。
O-1 「図書室の海」
恩田陸
新潮文庫

【2007年6月11日読了】

恩田陸の短編集。10作品中いくつかはこれまでに書かれた作品の番外編だったり、前日譚だったりして他の長編を読んでいた方が面白いかもしれません。でも、この作品集を読むことで、恩田さんの別の作品を読みたくなるかもしれません。恩田不思議ワールド体験入門編としてもいい本かも。
O-1 「光の帝国」常野物語
恩田陸
集英社文庫

【2007年5月8日読了】

膨大な書籍(に限らず音符や話が足りなども含む)を暗記する力や遠くの出来事を知る力、近い将来を見通す力などを持つ常野一族をめぐる連作短編集。恩田さんの作品は不思議な感覚の学園物が多いと思っていたが、これは結構内容も深く興味深い。他にも数冊常野一族に関係のある作品があるようなので読んでみようと思う。
O-1 「ライオン・ハート」
恩田陸
新潮文庫
前から読みたかった恩田陸を借りて読みました。ファンタジーを書く、というのは実は知りませんでした。この作品に関しては、ちょっと西洋史を知らないとつらいかな〜、と思いました。それと年代が前後するので、いつ頃に何が起こったのか、覚えておかないと話がまったく分からなくなります。結構面白かった。ほかの作品も読みたいと思います。
O-1 「麦の海に沈む果実」
恩田陸
講談社文庫
これは恩田さんの「三月は深き紅の淵を」という作品と関連がある(続編というほどではないけど、繋がっているというか…)作品だそうです。でも、「三月は〜」を読んでいない私でも楽しめました。学園ものなんですが、かなり不思議な感じのファンタジーとして読めると思います。結構かゆいところに手が届かない感じで歯がゆかったのですが…。やっぱり年齢的にそろそろ学園ものは厳しいのかも、とちょっとだけ思いました。
O-1 「不安な童話」
恩田陸
新潮文庫
最初は生まれ変わりの話のような始まりで、結局は他人の意識を、それと知らずに感知出来てしまう人の話でしたね。ミステリー仕立てなので、さくさく読めてしまいました。
O-1 「六番目の小夜子」
恩田陸
新潮文庫

【2006年6月読了】
【2008年6月20日再読了】

学園物ホラー?かなり謎な作品。恩田陸の「伝説のデビュー作品」だそうだ。何故伝説?学園物は読む側の年齢も限定される(ように思う)し、設定も限定されるから、かなり難しいと思うのですが、その枠の中でかなり特異で、異彩を放っている作品であることは間違いないと思う。デビュー作品というのはかなりびっくり。
E-2 「父・藤沢周平との暮らし」
遠藤展子
新潮文庫

【2010年6月19日読了】

藤沢周平の愛娘が父について書く2冊目。父親としての藤沢周平を娘からの目線で書いており、藤沢周平のエッセーと合わせて読むと、より理解が深くなると思われる。小菅留治としての生活と藤沢周平としての生活があったはずなのだが、上手く融合している気がする。
E-2 「藤沢周平 父の周辺」
遠藤展子
文春文庫

【2010年5月30日読了】

藤沢周平の娘が父親について書いたエッセー。藤沢周平という人が家庭ではどのような人間だったかが判る。また、妻から見た夫と娘から見た父は同じ人間なのに違うことも判る。作家の人となりを知らなくても、作品を読めばいいのかもしれないが、人間としてどのような人かが判れば、より作品も楽しめると思う。
E-1 「迷宮美術館」
アートエンターティメント
第1集・第2集
NHK「迷宮美術館」制作チーム
河出書房新社

【2007年3月9日読了】

NHKが放送している「迷宮美術館」という番組の本。美術関連の本なので、総カラーだが、読ませる部分も多い。番組自体は3人のゲストを招き、毎回いくつかのクイズを出しているのだが、そのクイズに関して書かれている。知っていることもあれば、知らないこともあり、絵を漫然と見ているだけではなく、それを描いた画家について、また描かれた状況などを知ると、余計に興味がわいてくるのが不思議。もちろんTVで紹介した物を全て本で紹介しているわけでもないし、そんなことが出来るわけもないので、不満も残る。番組自体は続いているので、そのうち続きが出るかもしれない。 【2007年5月追記:第三巻出てました】
U-8 「ジャポニスムから見たロシア美術」
ユーラシア・ブックレットNo.76
上野理恵
東洋書店

【2009年6月5日読了】

丁度私が興味を持っていた「銀の時代」と呼ばれている、19世紀から20世紀にかけての頃の、ロシア美術が日本芸術からの影響を受けているということに関して書かれた本。元々知っている画家のみではなく、名前を知らない画家もあったので、今度美術館で探してみようと思う。浮世絵と印象派に関して、興味深い関係について書かれていた。
U-7 「キャパその死」
リチャード・ウィーラン
文春文庫

【2009年1月20日読了】

沢木耕太郎の訳による、ウィーランの「キャパ:バイオグラフィー」を3冊に別けて翻訳した3冊目。戦争が終わってしまうと、自分に向く仕事がないと感じてしまうキャパ。周りから見たら、人生を楽しんでいるようだったのに、実は違ったというのが厳しい。イングリッド・バーグマンとの恋の後に、もう一人真剣だった人が居たのは知らなかった。人生を生き急ぎ過ぎた感が絶えない。
U-7 「キャパその戦い」
リチャード・ウィーラン
文春文庫

【2009年1月19日読了】

沢木耕太郎の訳による、ウィーランの「キャパ:バイオグラフィー」を3冊に別けて翻訳した2冊目。最愛の女性ゲルダを失った後のキャパのやるせなさが悲しい。アメリカに向かった理由が、ゲルダ亡き後、最愛の都市パリにヒットラー率いるドイツ軍が押し寄せてきたから、というのもなんとも言えず。。。この時代だからヒーローになったのか、なるべくしてなった人なのか。3巻目もじっくり読みたい。
U-7 「キャパその青春」
リチャード・ウィーラン
文春文庫

【2009年1月18日読了】

沢木耕太郎の訳による、ウィーランの「キャパ:バイオグラフィー」を3冊に別けて翻訳した1冊目。丁度キャパがハンガリーからドイツに移り、パリに移動して、スペインの戦場に顔を出し始める頃までの話が書かれている。キャパ本人の「ちょっとピンぼけ」の全てが事実を書いているのではないとしたら、この本はその虚実を確認しているものだと思う。
U-6 「砂漠で溺れるわけにはいかない」
ドン・ウィンズロウ
創元推理文庫

【2009年8月15日読了】

ニール・ケアリーシリーズ第五弾にて最終巻。二ヵ月後には結婚式を挙げる予定の、一緒に住んでいる恋人がやたら赤ん坊を欲しがっているが、ニール自身は自分の父親を知らないため、躊躇しているが…。結局は自分探しの旅を続けるんですね。1巻から4巻までは分厚かったのですが、いきなり薄くなって、しかも話もストレート。結構あれ?って感じで肩透かしでした。
U-6 「高く孤独な道を行け」
ドン・ウィンズロウ
創元推理文庫

【2009年4月4日読了】

元ストリート・キッズ、ニール・ケアリーが主人公のシリーズ第三弾。前作が非常に読みにくく、3冊目をゲットしていたにもかかわらず触手が動かず、しばらく放置。しかし、手にとってみたら読みやすかった。段々第一作の時のニールはいなくなり、淋しくもあり、頼もしくもあり。毎回女に惚れやすい。グレアムとの擬似親子関係は心温まる。
U-6 「仏陀の鏡への道」
ドン・ウィンズロウ
創元推理文庫

【2008年10月10日読了】

「ストリート・キッズ」の続編。今回は、「朋友会」の仕事だが、結構見放された感もあり、何故か締りのない話だった。しかし、そこここに出てくるグレアムが二ールを心配する様子やニールがグレアムのことを思い出す様子などが、擬似親子関係を窺わせる。導入部分が面白くなく感じられてしまい、なかなか読み進められずに時間がかかった。
U-6 「ストリート・キッズ」
ドン・ウィンズロウ
創元推理文庫

【2008年3月7日読了】

元ストリート・キッズのニールがグレアムという探偵に拾われて技を仕込まれ、グレアムが雇われている「朋友会」の会長の費用負担で大学院にまで行っていたのだが、その「朋友会」の仕事でいきなり休学させられる羽目に。仕事の内容は読んでのお楽しみだが、二ールとグレアムの師弟関係というか、擬似父子関係が読んでいてぐっときた。続きも楽しみ。
U-5 「パトロン物語」
アートとマネーの不可思議な関係
海野弘
角川ONEテーマ21

【2007年6月8日読了】

読み終わるのにかなり時間がかかったが、とにかく読了。小説ではなく、新書で、中世からのパトロンと芸術家の関係、またそのコレクションがどの美術館に引き取られているかなどが書かれている本。今まで世界各地の色々な美術館を訪れているが、それらの有名なコレクションがどのように形成されたか、などが分かって興味深かった。たまたま作者が大学の露文科卒ということを知り、それも興味を引いた。しかし、戦後のアメリカの現代美術の部分は芸術家の名前すら知らなくて、かなりきつかった。
U-4

「続あしながおじさん」
J・ウェブスター
新潮文庫

【2007年5月11日読了】

「あしながおじさん」の話は実際に読んでいなくても、多くの人があらすじを知っていると思うが、この続編は全く知らない人が多いと思う。こちらは「あしながおじさん」で「おじさま」ことジャーヴィスさんの妻となったジュディの大学での友人であるサリーが、ジュディが育ったジョン・グリア孤児院の院長となって(ジャーヴィス夫妻からの依頼により、また資金も彼らから出ている)奮闘する様子が、彼女が書いた手紙の内容という形で書かれているもの。主にジュディ、孤児院の主治医、彼女と一時婚約までしていたワシントンの青年政治家にあてた手紙となっている。原題の‘Dear Enemy’は最後にはお互いに愛し合っていると確認する主治医にあてた手紙の書き出し。最初は乗り気ではなかった孤児院経営に対し、サリーがどんどんのめりこんでいく様子がよく書かれている。また女性として結婚の話題もちりばめられていて、単なる児童書以上だと思う。
U-4 「あしながおじさん」
ウェブスター
新潮文庫

【2007年4月24日読了】

世界名作劇場というかクラシック(古典)というか。粗筋は知っていていても、きちんと読んでいないものが多いので、ここらで少しちゃんと読もうかなと思って読み直してみました。孤児院で育ったジュディがとある評議員の申し出により大学にいけることになったが、その代わり月に一回彼に手紙を書くことが条件だった…。名前も知らない彼を「あしながおじさん」と呼び、いきいきした大学生活を書き送るジョディ。孤児院育ちとは思えない素直な性格で、でも自分が孤児院育ちであるとは大学の友達にもいえないけれど、それを「おじさま」には赤裸々に告白する。同級生の年の若いおじさんと恋に落ちるが、育ちの違いを気にして…。落ちのあるハッピーエンドで幸せな気分に慣れます。続編もあるそうですが、そちらはどんな作品なのでしょうか。
U-3 「雨を見たか」
髪結い伊三次捕物余話
宇江佐真理
文春文庫

【2011年4月25日読了】

髪結い伊三次シリーズ。段々話の中心が伊三次ではなく、不破さんの息子とその仲間の見習い同心たちに移っている感が。なかなか本所無頼派は捕まらない。お文のお座敷の話や、伊与太とのエピソードは心温まるものがある。
U-3 「恋いちもんめ」
宇江佐真理
幻冬舎文庫

【2011年4月23日読了】

映画や漫画の原作になりそうな、ドラマチックな恋物語江戸時代版、という感じ。それはそれでぐいぐい読ませるお話だし、最後はハッピーエンドだったし、エンターテイメントという意味では面白かった。お初の父親が、最初は頼りないのかと思っていたが、かなり良い味を出していた。
U-3 「たば風」蝦夷拾遺
宇江佐真理
文春文庫

【2010年10月21日】

函館在住の宇江佐さんによる、蝦夷をモチーフにした作品集。幕末から維新後までの期間を描いているので、時代が動いている感じが大きかった。
U-3 「君を乗せる舟」
髪結い伊三次捕物余話
宇江佐真理
文春文庫

【2010年7月12日読了】

髪結い伊三次シリーズ第六弾。読むのが前の作品からかなり開いてしまったので、登場人物など覚えているか不安だったが、読み始めると、そんなことは全く関係なく、伊三次の世界に入り込むことが出来た。同心不破の息子やその仲間が役所に出所し始めたり、伊三次や不破の子ども達も大きくなってきている。
U-3 神田堀八つ下がり―
河岸の夕映え

宇江佐真理
徳間文庫

【2009年7月7日読了】

「おちゃっぴぃ」の続編にも当たる短編が含まれている短編集。それぞれの短編のタイトルに河岸が含まれている。江戸は川や運河が張り巡らされていた町だったので、河岸もたくさんあったのだろう。それぞれがちょっとずつしんみりした感じの、ほっこりとする作品にしあがっている。津軽藩の話は土地の言葉が読みにくかったが、味が出ていた。
U-3 「玄治店の女」
宇江佐真理
幻冬舎文庫

【2009年1月21日読了】

時代小説を語っているものの、キャリアウーマンの女性が、不倫の関係を清算して、新しく惹かれ始めた年下の若者との恋で悩み、三角関係の友人が心中したり、身の回りでさまざまなことが起こる。小梅の存在がいい味を出していて、8歳という設定だけれども、感覚的には10歳か12歳くらいの感じがする。
U-3 「おちゃっぴい」江戸前浮世気質
宇江佐真理
徳間文庫

【2009年1月7日読了】

江戸人情譚6話短編連作集。ポイントはお笑いらしいが、どうもそうは思わなかった。作者の初期の作品集らしい。数名の登場人物が話にまたがって出てくるので、連作と書いたが、どうなんでしょうか。宇江佐さんの作品は読むと安心できるものが多い。作風がそういうものなんでしょうね。
U-3 「泣きの銀次」
宇江佐真理
講談社文庫

【2008年7月28日読了】

妹を殺されて、その下手人を捕まえたくて、大店の若旦那の地位を捨てて岡っ引きになった銀次だが、死体を見ると取り乱して泣いてしまうので、人呼んで「泣きの銀次」と呼ばれていた。そして10年が過ぎ、すったもんだ色々あって、父親と家を継いでいた弟夫婦が殺され、それがきっかけとなって妹の下手人も捕まった。身を引いて姿を隠していた割りない中の実家の女中も見つけ出し、家を継ぎつつ十手も返さず、の銀次。暖かい物語だが、どうも上手く行き過ぎ。ほんわかしたい気分の時にはどうぞ。
U-3 「おぅねぇすてぃ」
宇江佐真理
祥伝社文庫

【2008年7月14日読了】

この作者にしては珍しく、明治初期の1年間程の物語。元々は横浜で友人数人と一軒家で合宿をしつつ英語の勉強をしていた青年が、御一新のあおりをくらい、親を養うために、叔父の会社の函館支店で働くことになり、ほのかな恋心をいただいていたお順と別れる羽目に。その後の紆余曲折を、当時の函館と横浜など外国人居留地も合わせ、書き上げたもの。お順がアメリカ人の妻になったり、別れ別れになった2人が一緒になるために、周りの色々な人たちがそれとなく協力してくれたり、心温まる物語に仕上がっている。
U-3 「銀の雨」堪忍旦那為後勘八郎
宇江佐真理
幻冬舎文庫

【2008年6月8日読了】

堪忍旦那という渾名を持つ北町奉行所の同心為後勘八郎。彼の気持ちが分からず楯突く若い同心。連作短編集なのだが、作品ごとに1年ずつ年をとっていって、為後の娘も成長する。若い同心とも結局は心を通わせることになる。作品を通して暖かい気持ちになる。宇江佐さんの作品は安心して読めるのが良い。
U-3 「斬られ権佐」
宇江佐真理
集英社文庫

【2008年6月6日読了】

己の惚れた女がやられそうになった代わりに、自分が88もの刀傷を負って、その女を助けた権佐。女は医者で彼を助け、その後彼の女房に納まった。権佐とおんなを結びつけた与力菊川数馬の小者として働くようにはなったが、もともとの親の仕事、仕立て屋の仕事も手伝って、弟も一緒に小者の仕事を手伝ってはいたが、やはり刀傷が権佐の体を蝕んでいた。6つになる娘が捕らえられ、彼女を助けた時に遺言を残した権佐。一度死んだも同然だったから他人のことを考えられたのか、それとも元々そういう人間だったのか。色々考えさせられる小説。
U-3 「桜花を見た」
宇江佐真理
文春文庫

【2008年5月15日読了】

実在の人物とその関係者を書いた、作者デビュー間もない頃に書き溜められた短編集。5つの作品が含まれているが、それぞれが興味深い話だった。北海道出身作家のゆえか、蝦夷にまつわる話が2つ含まれており、それも蝦夷の蜂起という話を蝦夷側と和人側から書いていて、それぞれの立場が違うと事件の見方も違うものだと思った。
U-3 「甘露梅」お針子おとせ吉原春秋
宇江佐真理
光文社文庫

【2008年4月29日読了】

岡っ引きの夫に先立たれた町家の女房おとせが、吉原で住み込みのお針になり、生活することになった。今までの生活とはかなり違い、とまどうおとせだが、それまでの生活のパターンからもすぐに抜け出せるものでもなく、色々なことに巻き込まれていく。人生って色々だよな、と思わされる作品でした。
U-3 「卵のふわふわ」
八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
宇江佐真理
新潮文庫

【2008年2月12日読了】

宇江佐さんお得意の、ほっこりするお話。舅と姑には恵まれているのに、夫の冷たさ、酷い言われように悩んでいるふみ。しかし、ふみが思い切って婚家を出てからの夫の変わり様が不思議。だんだん宇江佐さんの作品が江戸物ファンタジーに思えてきた。そういう分野があったらきっと第一人者なのではなかろうか。それぞれの話に、鍵となる食べ物が出てくるのが面白い。
U-3 「あやめ横丁の人々」
宇江佐真理
講談社文庫

【2007年11月20日読了】

時代物の形を取った、夢物語的な(非現実的な、物語的な)ストーリー、に思えた。大身旗本の三男坊が婿入りの祝言の席上、妻の思い人であった家臣を切捨て、妻は自害。そして婚家は断絶となり、付け狙われることになり、「あやめ横丁」に匿われることに。匿われてからの主人公の様子はそれなりに読ませたが、話の大元がうそ臭くて夢物語的にしか感じられなかった。
U-3 「涙堂」琴女葵酉日記
宇江佐真理
講談社文庫

【2007年3月27日読了】

元々八丁堀生まれでそこで育った同心の妻琴の夫が斬られて亡くなった為、末っ子で浮世絵師となった賀太郎の住んでいる日本橋通油町に引っ越してきてから琴が書き始めた日記が元になって書かれている(という体裁?の)作品。夫が斬られた原因や斬った人を息子達、娘の夫たちがが探ったり、末息子が年上の子連れの女性と一緒になりたいと言い出したり、中々大変である。ただし、琴には八丁堀での幼馴染が2人も近所に住んでいて、力になってくれているのが心温まる。
U-3 「室の梅」おろく医者覚え帖
宇江佐真理
講談社文庫

【2007年3月26日読了】

自殺、他殺、事故死などで亡くなった人の死因を探るための検死を行う医者のことを、江戸時代には「おろく医者」と呼んでおり、旦那はおろく医者の正哲、妻は産婆の杏という夫婦がいた。旦那はおろく医者のくせに麻酔技術を学びに紀州の華岡青洲のところまで出かけて3ヶ月間も江戸を留守にしたりする。その間妻が夫の代わりに同心や岡っ引きに協力して事件を解決したりする。一風変わった夫婦のお話。
U-3 「深川恋物語」
宇江佐真理
集英社文庫

【2007年3月21日読了】

宇江佐さんが第21回吉川英治文学新人賞を受賞した短編集。ハッピーエンドと悲しい終わりの話の両方が混じっている。悲しい話もそこはかとない余韻がある感じが良い。深川という地域をクローズアップした連作集かと思ったが、そういうわけでもなかった。しかし、それぞれが深川を舞台にした市井物である。
U-3 「余寒の雪」
宇江佐真理
文春文庫

【2007年3月14日読了】

6編の短編の入った、中山義秀文学賞受賞作品集。表題の「余寒の雪」は、結構ほろりとさせられた作品。「出奔」と「蝦夷松前藩異聞」は苦手な作品だった。それぞれ雰囲気の違う作品が揃っている。宇江佐さんの作品は短編よりも長編の方が味が出ているような気がする。短編も数を読めばよさが分かるのだろうか?
U-3 「春風ぞ吹く」
代書屋五郎太参る
宇江佐真理
新潮文庫

【2007年3月11日読了】

小普請組でお役に就いていないため、嫁ももらえず、代書屋の仕事で糊口をしのいでいる五郎太が、なんとしても学問吟味に合格して御番入りを果たさねばならなくなったのだが、なんとも味のある五郎太の性格が、色々な人脈を生み出し、本人の努力の甲斐もあって試験にも合格し、お役にも恵まれ、念願の嫁取りまで行われることになった顛末が書かれているもの、一生懸命な五郎太と彼の乳兄弟にあたる伝助の関係が良い感じ。
U-3 「黒く塗れ」
髪結い伊三次捕物余話5
宇江佐真理
文春文庫

【2007年2月23日読了】

お文と伊三次に伊与太という長男が生まれた。1巻ごとに伊三次(とお文)は1歳ずつ年を取っている。この時代に29歳ではじめての子供というのはかなり遅いが、今までどおり、伊三次は全てにまじめに対処しようとする。
U-3 「さんだらぼっち」
髪結い伊三次捕物余話4
宇江佐真理
文春文庫

【2007年2月22日読了】

伊三次のねぐらである茅場町の長屋で新生活を送るようになったお文だが、結局意地を張り、問題を起こしてそこから出て行ってしまったが、伊三次とはつながっていた。周りに子供を授かった人が目立ち始め、お文にも新しい命が宿った。
U-3 「さらば深川」
髪結い伊三次捕物余話3
宇江佐真理
文春文庫

【2007年2月22日読了】

結局伊三次とよりを戻したお文。そのお文の本当の母親が誰であったかが分かった。また女中のおみつが嫁入りとなり(相手は留吉の養子となった弥八)、彼女の後釜として働くことになったおこなにも複雑な事情があり、お文を身請けしたいという伊勢屋を断ったがために、お文は火事で焼け出され、結局伊三次と一緒になることとなった。
U-3 「紫紺のつばめ」
髪結い伊三次捕物余話2
宇江佐真理
文春文庫

【2006年11月11日読了】

シリーズ物2冊目。この巻では、伊三次が殺人の嫌疑を受けたり、お文との関係が危なくなったり、幼馴染が病気で亡くなったりします。殺人の嫌疑を受けたせいで、自分を使ってくれていた同心不破が信じ切れなくなって、お手先の仕事も辞めてしまいます(これから、また手伝うことになりそうだ、という感じで話が終わってますが)。お文とも、また上手くいきそうな予感。お文の女中 おみつと岡っ引き留蔵の養子弥八の恋物語もあったりして、ますます先が楽しみです。
U-3 「幻の声」
髪結い伊三次捕物余話1
宇江佐真理
文春文庫

【2006年11月9日読了】

オール読物新人賞を受賞した著者のデビュー作。連作短編集です。捕物余話と描いてあるのは、主要登場人物の1人である伊三次が本業の回り髪結いの他に同心のお手先の手伝いもしているからですが、全ての話が捕物だけというわけでもなく、半分江戸人情物語的な話も入っていますし、伊三次とその思い人であるお文(おぶん。これが深川芸者で男勝り)の恋物語も絡んできます。シリーズとして続いているので、先を読むのが楽しみです。
U-2 「機長からアナウンス」
内田幹樹
新潮文庫

【2006年11月2日読了】

民間航空会社で長年パイロットを務め、その後小説家に転向した著者のエッセイ。航空業界の私の知らないことがかなり書かれていて、物知りになった気がした。でも、どこの国でも同じ条件で働いているわけではないんですね、パイロットも。航空業界の人でも新しい空港建設に関しては独自の見解を持っているのだなあと思いました。
U-1 ちいさなちいさな駅長さんの話
いぬいとみこ
新日本出版社
(絵本)

【2009年12月23日読了】

「ちいさなちいさな」というフレーズが繰り返されていて、大変リズムのある作品となっている。子どもが読んでも楽しく、大人が読み聞かせをする時にも効果的なフレーズ。駅長さんと列車に乗っていた少年の心温まるエピソードもいい。
U-1 「フロスト気質(かたぎ)」上下
R・D・ウィングフィールド
創元推理文庫

上巻【2009年1月25日読了】
下巻【2009年1月26日読了】

下品で行き当たりばったり、なのに部下達からは慕われるフロスト警部シリーズ第4弾。今までも無駄に分厚いと思っていたが、今回はなんと上下巻。しかもそれぞれが分厚い。登場人物が多くて、出来事も多くて、全然覚えられない。下品だけど、実際にはフロスト警部の暖かい人柄がうかがえるから、これだけの人気シリーズなんでしょう。原作者が亡くなってしまったので、あと2作しかないらしいですが、楽しみに翻訳版の出版を待ちたいと思います。
U-1 「夜明けのフロスト」
クリスマス・ストーリー
R・D・ウィングフィールド他
光文社文庫

【2008年12月4日読了】

クリスマスを題材とした7つの短編が収められている。その内の1編が「夜明けのフロスト」。相変わらずのデントン警察署とフロスト警部とその仲間達。作品が少ないウィングフィールドのものが読めるだけでも楽しいが、その他に収められている短編も良かった。
U-1 「夜のフロスト」
R.D ウィングフィールド
東京創元社

【2006年8月29日読了】

フロスト警部シリーズ第三作。前作に引き続き混乱を極めるデントン警察。今回はインフルエンザで4−5人しか勤務してないのでは、と思われる状況。そのせいで、ほぼ丸一日中(約18時間くらいか?)仕事に追われるフロスト警部とその部下。確かに部下は家族生活を失うが、ここまで自分勝手な妻だったらいらないじゃないか、と思うのは私だけ?なんだかすっきりしない終わり方だったような気もするけど(犯人しょぼ過ぎ)、まだシリーズは続いているらしい。早く翻訳して出版して欲しいです。
U-1 「フロスト日和」
R.D ウィングフィールド
東京創元社

【2006年8月22日読了】

イギリスの架空都市デントン市のデントン警察署勤務のフロスト警部を主人公とする警察小説(というジャンルがあるらしい)シリーズ第二弾(シリーズ一作目は「クリスマスのフロスト」)。このフロスト警部、かっこよくもないし、薄汚い格好をして、下品なジョークを飛ばしまくっている。署長のマレットやアレン警部からは毛嫌いされているものの、部下からは何故か好意的に扱われている。筋道だっていない捜査や立身出世のことを考えていない、その考え方には好感を覚える。しかし、彼の混乱振りを現すように、無駄に長いかも、と思える分厚さ。ちょっと読むのを躊躇していましたが、読み始めるとその世界に没頭して、一気に読み終わりました。続きも読みたいです。
I-16 「温かな手」
石持浅海
創元推理文庫

【2011年5月27日読了】

初読み作家。短篇連作。まずは設定が何とも言えない。人間と同じ姿かたちをしているが、人間ではない、別の種で、人間の生命エネルギーを吸い取って生きている生命体ということを考え出すだけですごいと思う。しかも、その生命体が兄と妹で、それぞれの同居人は彼らのことを受けて入れている。不思議だ。しかも事件に巻き込まれても妙に冷静だし。人間じゃないから、当たり前なのか。
I-15 「森瑤子・わが娘の断章」
伊藤三男
文藝春秋
(単行本)

【2011年1月14日読了】

作家森瑤子、本名伊藤雅代の父伊藤三男の書いた、自分と娘とその家族について。子供3人のうち、2人の娘が国際結婚をし、一人は病に倒れ、その家族はほぼ世界中に離散、もう一人は離婚をし、妻には先立たれ、なかなか厳しい老後のようだ。森瑤子の作品はかなり読まれていたが、時代が移るに連れて、今は殆ど読まれていないのだろうか。
I-14 「もやしもん」1巻
石川雅之
イブニングKC

【2010年12月30日読了】

アニメや実写ドラマにもなっているらしい漫画。話だけは聞いていたが、実際に読んでみたくて購入してみた。絵柄に慣れるのにちょっと時間がかかったのと、なかなか話に入れなくて、読了に時間がかかった。続きを読むかどうかはまだ微妙。
I-13

「旅行鞄にはなびら」
伊集院静
文春文庫

【2011年4月20日読了】

言葉の美しさを感じられる本。日本語は美しいですね。ただ、解説ではないけれども、特定の絵画について書かれているので、その絵が添付されていると、よりわかりやすかったかもしれない。モネの「すいれん」は誰でも知っているかもしれないが、エル・グレコはどんな絵だか想像するのは少し難しいので。
I-13 「機関車先生」
伊集院静
講談社文庫

【2010年5月18日読了】

柴田錬三郎賞を受賞した作品。映画にもなっているそうだ。確かに映画になりそうな感じかもしれない。舞台は瀬戸内の小島で、終戦後十数年が過ぎた頃なので、昭和30年代だと思われる。子ども達がのびのびとした感じなのが伺える。春から秋にかけての数ヶ月間のことだが、子ども達だけではなく、島の大人たちも人間として成長した物があるように思えた。
I-12 「ロシア人しか知らない
本当のロシア」
井本沙織
日経プレミアシリーズ(新書)

【2009年6月19日読了】

ロシア生まれのロシア人女性が、ロシアで日本語を勉強し、日本に留学に来て、経済博士になり、日本に帰化。その作者が書いた、経済を基本にしたロシア入門のような本。91年から日本に滞在している著者は、逆にロシアにはあまり帰っていなかったこともあり、最近のロシアの変化にびっくりしている。ロシア人でしか分からない微妙な事柄なども書かれていて、そういう部分は十分に面白かった。
I-11 「雨の日の珈琲屋で」
流されゆく日々‘77
五木寛之
講談社文庫

【2010年12月17日読了】

五木さんがずっと新聞連載していたエッセーの77年の分の抜粋。当時の風俗やらいろいろなことが書かれていて、また年齢によって彼が考えていたことも変遷があるのだなあと思わされたりした。長く書くことも一つの挑戦というのはとてもよく判る。
I-11

レッスン」
五木寛之
新潮文庫

【2010年9月20日】

バブル時代の小説だと思われる。自分とは全く縁の無い世界。だからこそ小説を読んでいるという感覚ですんなり読めた。20代後半の自分のやりたい仕事が段々波に乗ってき始めた男性が、理想とも言える年上の女性にセックスのレッスンを受ける。更には年下の憎からず思っているガールフレンドもいて、男性にとってはかなり満足のいく設定のようだ。女性誌連載時にはどんな反響があったのか興味がある。
I-11 「風の王国」
五木寛之
新潮文庫

【2010年1月13日読了】

分厚い本だったので、読み出す前は時間がかかるかと思ったが、読み始めると時間が経つのも忘れるくらい引き込まれた。最初に不思議な現象を見せられて、後の謎解きで自分の来歴を探っていく一人の男性の成長物語が書かれている。ただし、日本の民俗学的な部分も含まれ、創作であることも常に頭に入れておかないととんでもないうそっぽい感じに思える。80年に出版されたものだけに風俗的にはちょっと古い感じが否めない。
I-11

「おとな二人の午後」
五木寛之、塩野七生
角川文庫

【2009年9月19日読了】

五木寛之も塩野七生も著作はそれなりに読んでいるので、その2人の対談とは面白そうだと思って読んでみた。この本のハードカバーは2000年に発売されており、元々は月刊誌に連載されていた対談なので、1999年頃に行われた対談なのでは、と思われる。対談は塩野七生が住んでいるローマで行われ、イタリア車のことから、洋服、カバン、文学、美術、政治、歴史、なんでもござれ状態。かなり面白かったです。
I-11 「四季・亜紀子」上下
五木寛之
集英社(ハードカバー)

【2009年4月26日読了】

4人姉妹の物語の最終章。4人皆がそれぞれ人間として成長していく様子が分かる。今の時代としては珍しく、ラジオや手紙が小道具として登場。ロシア語をご存知の五木さんらしくロシア文学やロシア関連の人の名前が随所に出てきて、妙に反応してしまった。ヴィソツキーなんて、この話を読んだ人のうち、どのくらいの人間が分かるのだろうか。
I-11 「ステッセルのピアノ」
五木寛之
文春文庫

【2009年2月16日読了】

五木寛之が、自身と関連のあるロシアや金沢に縁のある日露戦争後に日本にやって来たピアノに関して調べたり、関連地域に旅をしたりしたことを、エッセイのようにつづった作品。日露戦争時のステッセル将軍が乃木大将に送ったとされるピアノが、何故か金沢だけではなく、水戸や旭川にまで存在するのか、結局は真相は明らかにはならないのだが、伝承として残っていく話がいくつかあるのだろうと思った。
I-10

「行合橋」立場茶屋おりき
今井恵美子
角川春樹事務所時代小説文庫

【2011年4月22日読了】

おりきシリーズ第二弾。記憶喪失となり、おりきのところに居候していた如月様とおりきのお互いを思いやる気持ちがやるせない。記憶を取り戻したと思われる如月様は何も言わずに去って行ってしまったが、後でまた登場するのだろうと思われる。三吉はいろいろあったが、戻ってこれてよかった。
I-10 「さくら舞う」
立場茶屋おりき
今井絵美子
時代小説文庫

【2010年11月25日読了】

品川宿にある立場茶屋おりきの二代目女将、おりきは武家を捨て、8年前に初代の女将おりきに拾われた過去をもつ。「人間は情の器」という先代の言葉を胸に、茶屋と旅篭をきりもりしている。8年前はおゆきと名乗っていた女将の過去が明かされたり、この先に続く謎が出てきたり。シリーズとして、既に数冊文庫が出ているので、とりあえず先を読みたい。
I-10 「鷺の墓」
今井絵美子
時代文庫小説

【2009年2月2日読了】

初読み作家さんの作品。広島出身の方らしく、瀬戸内の小藩を舞台にした、連作短編集。5つの作品が収められていて、最初と最後の作品の主人公が同じ。ただし、最初と最後の作品の間に、10年近い時間が流れている。間の3作品は、その10年近い間に、その藩で起こった出来事を、主人公を変えて描いて見せたもの。他の作品も読んで見たいと思った。
I-9 「ムソルグスキー」
『展覧会の絵』の真実
ユーラシア・ブックレット115
一柳富美子
東洋書店

【2008年8月11日読了】

今までムソルグスキーの音楽を特に注意して聴いたことはなかったし、意識したこともなかったが、とりあえずどんな人だったのか気になったので、読んでみた。作品についての解説もあり、そのうちちゃんと音楽を聴いてみようと思った。
I-8 「ゴールデンスランバー」
伊坂幸太郎
新潮社(ハードカバー)

【2011年5月26日読了】

読了までに時間がかかった。後半は先が気になって、どんどん読み進んだが、前半はなかなか作品の世界に入り込めなかった。大学を卒業して数年後の現在(少なくとも5年以上は経っているはず)と大学時代のエピソードが時間軸に関係なく登場するので、今読んでいる部分はいつのことか確認しないと疲れる。この作品は多くの謎を残したままだが、作者は謎解きをしたかったのではなく、青柳の逃げっぷりを書きたかったのだと思う。サイドストーリーがあってもいいかな。
I-8 「ラッシュライフ」
伊坂幸太郎
新潮文庫

【2008年7月19日読了】

初読み作家。人気があるとは聞いていたので前から読みたかった作家。しかし、エピソードが4つに分かれていて、それぞれの話が絡みながら進んで行く。どんどんどんでん返しになっていて、時間の経緯も今一つ一定でないようで、凄く不思議な世界。別の伊坂さんの作品の登場人物も出ているようなので、いくつか読んでみたい。
I-7 「恋愛少女漫画家」
一条ゆかり
集英社Be文庫

【2008年4月25日読了】

私が小学生の頃、既に「デザイナー」や「砂の城」という代表作があり、その後も「有閑倶楽部」などの有名な作品のある漫画家、一条ゆかりの生い立ちや人生観、恋愛間などが書かれている本。話し言葉のため、大変読みやすかった。知らない話や創作秘話などもあって、大いに楽しめた。
I-6 「ベルサイユのばら外伝」
池田理代子
中公文庫コミック版

【2008年4月10日読了】

ずいぶん昔に読んだ記憶もなきにしもあらず、の「ベルサイユのばら外伝」です。前に読んだのは、オスカルの姪のル・ルーが出てきて、機械仕掛けの人形が出てくる話のはずで、それと今回読んだものが違うので、別の外伝だったのか?よくわかりません。本編とは違い、コメディタッチのストーリィが笑わせてくれます。
I-5 「沖で待つ」
絲山秋子
文藝春秋

【2008年3月22日読了】

初読作家。第134回芥川賞受賞作品。「勤労感謝の日」と受賞作「沖で待つ」が収録された単行本で読んだ。どちらも30代前半から半ばくらいの女性が主人公。「勤労〜」の女性は会社を上司の横暴のせいで、こっちが逆切れして辞めた人だが、人生前向きな感じが良かった。「沖で待つ」は同期入社の2人の関係に焦点を当てた作品だが、なぜ亡くなった同期と話が出来るのか不思議。芥川賞受賞作は敬遠していたけれど、また機会があったら読んでもいいかもと思った。
I-4 「私が愛したリボルバー」
ジャネット・イワノヴィッチ
扶桑社文庫

【2008年3月2日読了】

CWA(英国推理作家協会)賞最優秀処女長篇賞受賞作品。これは翻訳のせいなのか、それとももともとの作品のせいなのか、スピード感にはあふれているものの、少し付いていけない感じもしたりして。アメリカだからしょうがないのかも?(おおいなる偏見かもしれない)機会があったら続きも読んでみてから、シリーズを読み続けるべきかどうか決めたい。
I-3 「めろめろ」
犬丸りん
角川文庫

【2007年9月4日読了】

NHKのアニメ、おじゃまる君のキャラクターデザインと原作を書いている人の作品。語り口も軽やかで、簡単な文章なのだが、なんだか読ませる短編集。ただ、この人の作品を全部読破したいか、と言われると、それはちょっと勘弁、って感じでしょうか。軽いものを読みたい方にお勧めします。
I-2 「わたしを離さないで」
カズオ・イシグロ
早川書房

【2006年12月4日読了】

最初から何の説明もないままいきなり一人称の語りで始まる。とても不思議な感覚の文章なのに、説明がないことによって、気になって先が読みたくなる。はっきりと書かれているわけではないにもかかわらず、事実が判明するが、それは哀しい現実 。全体を通してきれいな、透明な感じの文章でつづられており、それが翻訳者の力なのか、作者の力なのか、いまひとつ分からなかった。
Iー1 「真田騒動 真田木工」
池波正太郎
新潮文庫

【2010年4月22日読了】

真田太平記を書いた池波正太郎が、その後の真田家とその家臣がどのような運命をたどったか、というような話が書かれている短編集。「真田騒動」は中篇と言っても良い長さがあった。真田太平記を読んだ人はその外伝のような感じで楽しんで読める。
Iー1 「ないしょないしょ」
剣客商売番外編
池波正太郎
新潮文庫

【2009年11月8日読了】

どうも一度読了している本らしい。途中までは読んでいた記憶があったのだが、後半は全く記憶が無かったので、再読して良かった。剣客商売番外編と書かれているが、番外編というよりも小兵衛が後半ちょっと出てくる感じで絡んでいる。しかも、シリーズ者の時よりも若い。丁度四谷から鐘ヶ淵に引っ越すか引っ越さない頃という設定である。小兵衛が出ている作品をくまなく読みたい人には勿論、それだけではない人にもお勧め。女性の成長物語でもある。
Iー1 「真田太平記」1巻〜12巻
池波正太郎
新潮文庫

第一巻【2009年8月22日読了】
第二巻【2009年8月23日読了】
第三巻【2009年8月26日読了】
第四巻【2009年8月28日読了】
第五巻【2009年8月30日読了】
第六巻【2009年9月2日読了】
第七巻【2009年9月4日読了】
第八巻【2009年9月5日読了】
第九巻【2009年9月6日読了】
第十巻【2009年9月12日読了】
第十一巻【2009年9月14日読了】
第十二巻【2009年9月15日読了】

池波正太郎による戦国時代物。今までも秀吉に関することなどを書いた小説に登場していた真田幸村のことは読んだことがあったが、彼の父の時代から、死んだ後のことまで書かれている作品。全12巻もあるので読み始めるまでに時間がかかったが、読み始めると、面白くて、先が気になり、どんどん読めてしま った。1冊平均500ページ強もの量。大阪の陣のことや、その前に九度山に幽閉されていた話は知っていたが、それは父親と次男の話だったのか。長男は嫁が家康の養女(実父は家康の家臣本多忠勝)だったこともあり、ずっと東軍で、関ヶ原の時には決戦の場に、この一家はいなかったんですね。知りませんでした。ふーむ、色々立場を変えて読むと面白いねえ。 次男の幸村と長男の信之の最後の邂逅の場面とか、幸村が亡くなった場面などはかなりぐっときます。池波節もいい感じです。 最終巻の12巻目が圧巻です。11巻目も幸村が亡くなってしまうので、良い感じですが、どちらにしてもそこを読むためには1巻から読まないといけないという、結構辛い(そして長い)道のりが待っています。でも、できたら多くの人にその苦労を味わって欲しいです(苦労と思わないかもしれないし)。
Iー1 「火の国の城」上下
池波正太郎
文春文庫

上巻【2008年8月25日読了】
下巻【2008年8月27日読了】

忍びの大介を主人公に据え、秀吉亡き後の家康が足元を固めている時期を加藤清正を中心に描いた作品。猿飛び佐助らしき人も出てくるが、司馬遼太郎の作品でも同時期の忍びを描いたものがあり、ついつい比べてしまったが、どちらもそれぞれ面白かった。加藤清正に関しても虎退治の人、というイメージしか持っていなかったので、いつかきちんと彼について書かれた作品を読んでみたいと思った。
Iー1 「乳房」
池波正太郎
文春文庫

【2008年1月18日読了】

鬼平犯科帳シリーズ番外編。なんでこれが鬼平シリーズに含まれていないのか、とても不思議。番外編と銘打たなくてもいいくらい鬼平もでてくるんだけどねえ。相変わらず読後感が暖かくなるほっこりとした感じのするお話でした。そういう意味では、ついつい何度も読み返してしまうのが池波正太郎の作品です。他にも番外編があるのかな。探してみます。
Iー1 「鬼平犯科帳の世界」
池波正太郎編
文春文庫

【2007年10月20日読了】

作者自身の責任編集での「オール讀物」臨時増刊号を充実改編して文庫化された鬼平ファン必携の1冊、だそうです。確かに鬼平事典です。登場人物の名前を網羅した一覧表まであります。ただし文庫化された作品が18巻までの時の物のため、最後まではありません。最終的には24巻まであるはず。池波さんのお話(編集者との対談?)が興味深かったです。
Iー1 「剣客商売」
【2007年10月9日読了】

「辻斬り」剣客商売2
【2007年10月11日読了】

「波紋」剣客商売13
【2007年10月2日読了】

「春の嵐」剣客商売10
【2007年10月31日読了】

「二十番斬り」剣客商売15
【2008年1月1日読了】

「浮沈」剣客商売16
【2008年1月6日読了】

池波正太郎
新潮文庫

剣客商売シリーズ第一巻、第二巻。実は再読。でも、感想は書いてなかった。かなり昔に読んだ作品なので、大体は覚えていたものの、細部を忘れていたので、楽しみながら読めた。また、再読に値する作品だということを再確認しながら読んだ。続きも読みます。

剣客商売シリーズ第10巻。このシリーズはずっと短編連作集だったのだが、この巻はシリーズ初の長編になっている。時代背景を分かってないといまいち理解しにくいかもしれない(田沼意次時代)。しかし、ここでも小兵衛の姿勢が貫かれていて、自分の息子のために、周りの皆が助けてくれるのも、このような一つの姿勢を貫くことによるのかもしれない。

剣客商売シリーズ第15巻。短編「おたま」と長編「二十番斬り」が収められている。「おたま」はしばらくの間小兵衛が飼っていたが、その後行方不明になっていた猫が活躍する話。長編の方は小兵衛の昔の門下生が小さな子供を伴って戻ってきたところから始まる謎の話。どちらも小兵衛らしい、温かみのある解決方法が見られる。

剣客商売シリーズ最終巻。文字通り終わりである。この作品を書き終えてから、数ヵ月後に作者は亡くなってしまった。しかし、それを予期していたかのように、この巻では主人公の小兵衛が93歳まで生きるとか、おはるはもっと前に亡くなるとか、そういうことが書かれている。シリーズ物は終わり方が難しいとは思うが、この場合もっと書いて欲しかったシリーズの一つでした。

Iー1 「殺しの四人」仕掛人・藤枝梅安(一)
「梅安蟻地獄」仕掛人・藤枝梅安(二)
「梅安最合傘」仕掛人・藤枝梅安(三)
「梅安針供養」仕掛人・藤枝梅安(四)
「梅安乱れ雲」仕掛人・藤枝梅安(五)
「梅安影法師」仕掛人・藤枝梅安(六)
「梅安冬時雨」仕掛人・藤枝梅安(七)
池波正太郎
講談社文庫

【2007年9月23日読了】(一)
【2007年9月24日読了】(二)
【2007年9月26日読了】(三)
【2007年9月27日読了】(四)
【2007年9月29日読了】(五)
【2007年9月29日読了】(六)
【2007年9月30日読了】(七)

仕掛人・藤枝梅安シリーズ。鬼平犯科帳と並ぶ池波正太郎の代表作の一つである藤枝梅安シリーズがやっと揃ったので、読み始めることにした。鬼平にしても、剣客商売シリーズにしても、正義の側に立つ者を主人公にしているが、この梅安は裏稼業として、人知れず人を殺すことを生業としている。それなのに、正業は鍼医者なのだから不思議だ。また梅安の友と言うべき彦次郎も同じ裏稼業者だ。この二人の人間関係も面白い。 最初の2冊は短編読みきりになっているが、その後は1冊ごとの長編、しかも内容的にはずっと繋がっている。途中から小杉十五郎という剣客も加わる。梅安は十五郎をこの道へ引き込みたくなかったのだが、結局運命だったのか、何度も梅安立ちの手伝いをすることになってしまった。また、梅安とおまさの関係も面白い。池波正太郎はおまさのような何も言わずに男が来るのを待っていて、来たら下にもおかず世話をする女が理想だったのか。私は到底こんな女にはなれないが、こういう女もいてもおかしくはないかもしれない。しかし、梅安はおまさとの関係においては自分勝手である。自分の裏の稼業を考えると女とは一緒になれないと思っているのは、やはり勝手だと思う。しかも、第七巻では顔も見ないで手切れ金を置いてくる。もしかしたらその後での伏線だったのかもしれないが、残念ながら作者が急逝したために絶筆となってしまった。作者になったつもりで続きを考えるのも一考。
Iー1 「鬼平犯科帳」10
池波正太郎
文春文庫

【2007年6月30日読了】

10巻だけ入手できずに読めていなかったのだが、やっと読むことが出来た。久し振りに鬼平の世界を堪能。義理と人情にあふれているものの、極悪人には容赦せず、これと見極めた盗人を密偵に仕立てる腕も確かなものである。ファンが多いのもうなずけるシリーズ。この巻では昔なじみのお熊ばあさんが活躍する「お熊と茂平」が良かった。
Iー1 「武士の紋章」
池波正太郎
新潮文庫

【2007年5月30日読了】

「武士の紋章」と書いて「おとこのもんしょう」と読ませる。秀吉に使えたこともあった黒田如水、真田幸村、信幸兄弟、高田の馬場の決闘までの中山安兵衛(後の堀部安兵衛)などの武士と昭和20年代から30年代に活躍した力士三根山、それに日本の植物分類学の草分けの牧野富太郎博士という一風変わった男ばかりに関する歴史エッセイ。牧野富太郎なんて、小学生の時に聞いて以来忘れてました。現代の人についても書いているのが珍しかった。
Iー1 「暗殺者」剣客商売 14
池波正太郎
新潮文庫

【2007年2月25日読了】

剣客商売シリーズ第14巻。基本的に剣客商売シリーズは読み切り短編なのだが、この巻は特別長編で、1冊丸々1つの話となっている。たまたま秋山小兵衛が見かけた巨漢の剣客が、小兵衛の息子、秋山大治郎を襲う話を耳にして、小兵衛が情報収集をし、対策を練っているのに、息子はそこまで焦っていない様子がかなりおかしかった。逆にそれだけ大物なのだろうか。最後はもちろん小兵衛の計画通り、悪い奴はやっつけられて終わるのだった。
Iー1 「勝負」剣客商売 11
池波正太郎
新潮文庫

【2007年2月24日読了】

秋山小兵衛とその息子、大治郎が活躍する剣客商売シリーズ第11巻。大治郎とその妻三冬との長男であり、小兵衛の初孫である小太郎が生まれ、名前がどのようにつけられたのか、など、シリーズのファンとしては見逃せない話も含まれている。
Iー1 「鬼平犯科帳24」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月6日読了】

特別長編「誘拐」と書かれているが、この巻には3つの話が入っており、3つ目の「誘拐」の途中で筆者が急逝されたために、途中で終わっているもの。女密偵おまさがどのように助けられるのか、荒神のお頭ことお夏がどのように絡んでくるのか、完成されていたとしたらどんな話になったのか、残念である。それと共に、これ以上鬼平の新しい話を読めないことが寂しい。
Iー1 「鬼平犯科帳23」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月6日読了】

特別長編「炎の色」だが、もう一遍「隠し子」という話が入っている。これがびっくり、鬼平の父親に、鬼平の他に隠し子である娘がいたと言うのである。しかし、本人も父親が鬼平の父とは知らず、よって鬼平と兄妹の関係であるとは分からない。この後も妹はかなり重要なお役を担って登場する。「炎の色」ではおまさを中心に、今まであまり活躍しなかった息子の辰蔵も登場し、最後に華々しい活躍をする。
Iー1 「鬼平犯科帳22」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月6日読了】

特別長編「迷路」。私はこの話が一番好きかもしれない。人間としての長谷川平蔵らしさが描かれていると言っても過言ではないと思う。鬼平の魅力が凝縮された1冊だ。また、鬼平のみならず、火付盗賊改方一同、および京極備前守、密偵の全員が一丸となって平蔵を守り立てている様子が良く分かる。これだけ皆で一生懸命になれることは、今の世の中でもそうざらにはないかもしれない。
Iー1 「鬼平犯科帳21」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月5日読了】

この巻にはしみじみとした話が集まっている気がする。鬼平などと呼ばれている長谷川平蔵だが、普段は周りの部下に対して、優しさを見せる。また、それを皆が知っているから、怒った時の平蔵の怖さも身にしみるのだと思われる。しかし、10年も20年も前に見た人間の顔を覚えているというのは一種の特技だと思うが、ものすごい記憶力だと思う。
Iー1 「鬼平犯科帳20」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月5日読了】

長期で続いている読み切り連作にありがちな、キャラクターが育ってしまい、立派に脇役だけで話が成り立って行く見本のような感じがしてきました。数巻前の話に脇役で登場した人が、後になって主役で出てきたりすると、「これはあの話のあの人」と思い出してにんまりしてしまいます。一度登場人物表とかと対比しながら読んでみたい気がします。
Iー1 「鬼平犯科帳19」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月4日読了】

今度は鬼平の裏をかこうとする盗賊一味が出現。確かに嘗役だった利平治が後をつけられていたせいで、今では密偵であることが発覚したのだが、それにしても惨い。人が死ぬ話は辛いです。悪いことをすると自分に返ってくるというか、心を入れ替えて、お上のために一生懸命働くことが良い事だ、とかそういう部分も書かれていますが、心を入れ替えて働いても、結局は昔の仲間=盗賊からは裏切り者扱いされてしまうわけで、きついなあと思います。
Iー1 「鬼平犯科帳18」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月4日読了】

またしても手下の密偵が死んでしまう話(今度は殺されるのではなく自害)や同心の情けない姿を垣間見て、それを正しい方向に直してやろうという平蔵の親心が見える話があったが、それ以上に、火付盗賊改役の長官であるにもかかわらず、私心により若い時から弟のように可愛がってきた者の敵討ちを行う「おれの弟」が興味深かった。話さなくても事実を理解して、また罰さずにいてくれる直属の上司である京極備前守も良い味を出している。
Iー1 「鬼平犯科帳17」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月3日読了】

「特別長編鬼火」。つかみどころのない話から、どんどん物語の核心に迫って行く手法はさすが。長編ならではの、時間をかけた捕物の様子が面白い。鬼平を殺したと思わせて、賊を泳がせて最後に一網打尽にする方法も秀逸。しかし、悪党にいいように利用されていた武家に関しての描写が少なく、そちらの立場からの物語も読んでみたい気がした。
Iー1 「鬼平犯科帳16」
池波正太郎
文春文庫

【2007年1月2日読了】

これはまたいつもの読み切り連作に戻った鬼平犯科帳。現代物の警察でも悪者がいるように、鬼平の手下である同心にも悪い奴がおり、鬼平が上司としていかに信用しようと思っても、結局は征伐しなくてはならない場合もあり、御頭としての辛い立場が描かれている一遍が良かった。2007年の記念すべき読了1冊目。
Iー1 「鬼平犯科帳15」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月31日読了】

今回の第15巻は「特別長編雲竜剣」と名前が付いている。普段は読み切り連作の鬼平犯科帳だが、1冊丸々1つの長編と言うのは初めて。こちらも読み応えがあった。もちろん第一巻から読んでいないと、より面白く楽しめないが、これだけを読んでも楽しめるし、逆にこれを最初に読むと1巻から読みたくなる話の作りが上手いと思った。
Iー1 「鬼平犯科帳14」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月29日読了】

半ばレギュラー化していた鬼平の手下の密偵の一人である伊三次が、以前の悪だった時代のことを全て鬼平に語っていなかったことから狙われ、命を落とす話が含まれている。鬼平の部下を思いやる気持ちが十分伝わってくる一遍。その気持ちが部下にも伝わるので、一生懸命働いてくれるというシステムが成り立っている。
Iー1 「鬼平犯科帳13」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月28日読了】

鬼平の部下の火付盗賊改方の与力や同心でも、悪事に手を染めてしまう人間がいたり、同じ盗賊なのに、盗賊としてのモラルが違うばかりに、盗賊としての3つの掟を守っている「真の盗賊」が畜生盗めの盗賊を懲らしめたり、鬼平が妻や密偵を伴って休暇に行った先の熱海で起こった話などが書かれている。いつも同じパターンではないのが面白い。
Iー1 「鬼平犯科帳12」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月27日読了】

まだ鬼平が高杉道場に通っていた頃、鬼平と鬼平の親友、岸井左馬之助と共に、三羽烏と呼ばれていた又兵衛が盗賊となって鬼平の前に戻ってきた。二十数年ぶりの再会の場での壮絶な戦いの様子は物寂しさも感じた。最初の頃の巻と違って、鬼平が疲れてお休みをしている部分もあったりして、年を感じさせる。
Iー1 「鬼平犯科帳11」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月25日読了】

何故か手元に10巻がなかったので、飛ばして読んでいる。11巻で面白かったのは、ひょうきん者の木村忠吾が男好きの男の標的にされてしまう話。大身旗本の毒殺計画を未然に防ぐ話、鬼平がまだ悪だった頃の知り合いだったお百が自分の息子のお盗めを密告する話も面白かった。

Iー1

「鬼平犯科帳9」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月24日読了】

前の巻で鬼平の親友、岸井左馬之助の嫁取り話があったと思ったら、この巻では鬼平の最も信頼している密偵のうちのおまさと五郎蔵がめでたく夫婦のちぎりを結んだ話が載っていた。おまさは小さい時から鬼平のことを憧れていたようだが、それはそれ、これはこれ、ということだろう。他にも自分の危機を救ってくれた犬を貰い受ける話も良かった。
Iー1 「鬼平犯科帳8」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月22日読了】

鬼平犯科帳シリーズ第八巻。どの話もつながっているようで、それぞれが独立している鬼平シリーズだが、それぞれで活躍する同心や与力、密偵がちょっとずつ違っているのも面白い。ひょうきんなのや、まじめな者、家族の逸話など、色々ある。鬼平の親友である岸井左馬之助の嫁取り話などもあって、ちょっと趣向が違っている第八巻である。
Iー1 「鬼平犯科帳7」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月21日読了】

 

鬼平犯科帳シリーズ第七巻。池波さんに言わせると、盗みには2種類あって、1つは本格的な盗みで、殺生をやらず、準備には数年かけて、盗んでもあまり迷惑にならないようなところからしか盗まない(貧乏人からは取らないとか?)。もう一つは急ぎ働きと言って、押し入ったところの人間を皆殺しにしてでも、金を全部もらっていってしまう。鬼平は1つ目の盗人には比較的温情を与えていて、2つ目の盗人は盗むだけでなく殺人も犯しているという意味で罪が重いとしている。
Iー1 「鬼平犯科帳6」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月20日読了】

鬼平犯科帳シリーズ第六巻。鬼平こと長谷川平蔵は悪党を捕らえるだけでなく、殺人を犯していない盗人は助けてあげたり、改心させた上で、自分の密偵として登用したり、なかなか柔軟性がある。自分から進んで平蔵の密偵となったおまさを、足を洗って一般人になるなら、という条件付で二代目狐火勇五郎である又太郎と娶わせたり、粋な上司、ってところでしょうか。残念ながら又太郎ははやり病で死んでしまい、おまさは又密偵として平蔵の元で仕事をすることになるようですが。
Iー1 「鬼平犯科帳5」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月19日読了】

鬼平犯科帳シリーズ第五巻。24巻まで借りてしまったので、がんばって全部読破しないといけないことになりました。しかし、奥付を見ると、雑誌に連載されていたのは昭和45年とかになってます。うお〜、時代を感じますねえ。しかし、時代劇なので、時代を感じるのは変なんですが。これだけ時間が経っても変わらず愛されている鬼平シリーズ、凄いなあ。
Iー1 「鬼平犯科帳4」
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月18日読了】

こちらも別の意味で読みやすい鬼平犯科帳シリーズ第四巻。これだけよくも次から次へと盗賊の名前と書き分けが出来るなあと思うくらい、盗賊オンパレード。あの話の少し後にこの話が来て、この話の1年位前にこっちの話があった、みたいな時間の書き分けがされているので、一応「XXの○○事件」のような名前は覚えておいた方が、先を楽しめるようだ。
Iー1 「鬼平犯科帳」3
池波正太郎
文春文庫

【2006年12月5日読了】

1、2巻を読み終わった後、かなり時間を置いてから3巻を読んだので、結構忘れてました。時間の経過を「XXのとりおさえをした後」とか書かれていても、その事件自体を忘れていたりして、結構辛かったです。しかし、相変わらず鬼平の人物像がしっかりと描かれていて魅力的です。最後の1編は彼の妻の過去が明らかになります。
Iー1 「鬼平犯科帳」2
池波正太郎
文春文庫

【2006年11月1日読了】

ご存知鬼平犯科帳シリーズ第二巻。読み切り連作の形をとっているので、読みやすいですが、一応話はつながっているので、前にどんな事件があったのか、分かっている方がより作品の理解が深まります。鬼と恐れられている平蔵も、自分の部下や家族などにはとても優しいので、その部分が書かれている箇所が好きです。かなり長いシリーズですが、続きも読まなくては。
Iー1 「闇は知っている」
池波正太郎
新潮文庫

【2006年10月5日読了】

女で生きる道を誤った僧が金で殺しを請け負う暗殺者になり、死ぬまでの物語。人生なんて、食って、寝て、女を抱くだけだ、なんていう考えを持っていて、冷徹なのかと思えば、寺から出奔した後、面倒を見てもらった師匠を実の父親のように慕っているところは、まだまだ人間らしいし、そのような人間の2面性を池波正太郎は上手く描いていると思う。しかし、青年僧の人生を誤らせた女性は全くそのことに気が付いていない、というのも凄い。
Iー1 「狂乱」剣客商売8
池波正太郎
新潮文庫

【2006年7月1日読了】

剣客商売シリーズの8です。実はこのシリーズ、飛び飛びに読んでいて、ちょっと良く分からない。 でも、最初のシリーズが確立する2−3冊と、主人公の息子が嫁をもらう部分は読んでいるので、大体の粗筋は分かっている感じ。 毎回、隠居をした元剣の達人、秋山小兵衛とその息子大治郎が活躍する江戸時代半ばから後半にかけての時代物。 きちんと1巻から最後まで通して読みたい。
Iー1 「鬼平犯科帳」1
池波正太郎
文春文庫

【2006年4月7日読了】 

いわずと知れた、TVドラマや舞台で有名な作品の原作。実はTVドラマも舞台も見たことがないので、今まで読もうとは思わなかった。でも、池波正太郎の作品を手に取ることが多くなったので、ここらで代表作も読まなくちゃ、と思って読んでみました。面白い。読みきり連作って感じですね。かなり際立ったプロフィールを持ったお侍さんのようで。2巻以降も楽しみです。
A-13 「知らない劇場」
阿刀田高
文春文庫

【2011年5月23日読了】

短篇集。全てが夕方から夜中にかけて起こることを題材にしている。どちらかというと、醒めた感じの話が多く、哀しい結末を予感させる物も多い。しかし、何故か読ませる文章が続き、結局は読了していた。普通の人の目には晒されないけれど、人間の営みは行われている、という感じ。
A-12 「エロイカより愛をこめて」2巻
青池保子
秋田文庫

【2011年6月3日読了】

2巻にして、初めて出てきたZの髪の毛が長すぎる。このノリのままずーーーっと今まで続いているというのは、素晴らしいことですね。少女漫画だからしょうがないけど、少佐も伯爵も足が長すぎます(笑)。
A-12 「エロイカより愛をこめて」1巻
青池保子
秋田文庫

【2011年6月1日読了】

昔懐かしいエロイカ。1−2話ではエスパー3人組がメインだが、そのうち少佐と伯爵がメインに。最初の方は少佐の髪が長いな、とか、伯爵やジェイムス君の顔が違うな、と思っていたが、そんなことは気にならないくらい、今読んでも面白い。
A-12 「「エロイカより愛をこめて」の創り方」
青池保子
マガジンハウス文庫

【2011年3月14日読了】

素晴らしく懐かしい少佐と伯爵に再び出会えて、しかも漫画家の裏話がこんなに山盛りなエッセーを読めるとは。連載再開後の部分は読んでいないので、そのうち何とかして、全部読んでみたい。いまだに連載が続いているとは驚いた。
A-11 「ロシア料理
中央アジアからバルトまで」
ユーラシア・ブックレットNo.50
荒木瑩子
東洋書店

【2011年2月6日読了】

同じ作者によるユーラシアブックレットシリーズの中のロシア料理本の2冊目だそうだ。1冊目を読んでいないので、そちらではどのような料理を紹介しているのかが不明。2冊目では1冊目で紹介できなかったものを紹介していると思われる。写真が白黒なのはしょうがないとしても、もう少し鮮明な物はなかったのか、料理がどんなものか知らないと、全く意味不明である。
A-10

「ぬくぬく」まどろみ編
秋本尚美
クイーンズコミックス

【2011年4月12日読了】

山田さんと猫のシマのコンビもシリーズ化して早4冊目。ちょっとずつマンネリ化してはいるものの、猫好きは「そうそう、そうだよね〜」とうなづくこと多し。
A-10 「ぬくぬく」うたた寝編
秋本尚美
クイーンズコミック

【2010年6月25日読了】

ぬくぬくシリーズ第二弾。山田さんとしまがいいコンビになってきた。しかし、しまがもう5歳とは、ちょっとびっくり。猫を飼ってる人、猫が好きな人にはたまらない漫画。こういうこと、あるよなあと思わせるネタ。絵柄もほっこりくるような絵柄で、かなりお気に入り。まだまだシリーズは続いているようなので、他の巻も是非入手してみたい。
A-10 「ぬくぬく 日だまり編」
秋本尚美
クイーンズコミック

【2009年8月29日読了】

妻を亡くした山田さんがひょんなことから子猫のしまを飼うようになった。猫と生活したことのあるひとなら、「そうそう!」とうなづいてしまう日常的な、ささいなことだけれども、心温まるエピソードが沢山。しかし、モデルが秋本家の2匹の猫というのは理解できるが、主人公の山田さんは定年退職したと思われる(常に家にいるので)男性で、一人暮らしの様子がよく描かれているのが不思議。続きがあるので、読んでみたい。
A-9 「翻訳家という楽天家たち」
青山南
ちくま文庫

【2009年8月21日読了】

実は翻訳家としての青山さんの作品は全く読んだことがない。ただ、翻訳に従事している人のエッセーということで、きっと面白いに違いないと思って手に取った1冊。調べてみたら児童書も多く翻訳されている人で、現在は大学教授だとか。読みやすいエッセーで、翻訳家のこだわりが見え隠れする文章でした。英語ではなく、ロシア語を日本語に訳す機会のある者として、言語違いでも、考えることは一緒だなと思った次第。
A-8 「SWAN白鳥」14巻
有吉京子
秋田文庫

【2011年5月31日読了】

昔懐かしい「SWAN」の最終巻。「SWAN」の続編(モスクワ編)を読んだので、その直前部分はどうだったのかと思って読んでみた。バレエはきれいな物だと思っていたけれど、この漫画を読んで、スポ根物と同じくらい大変だと思ったことを思い出した。
A-8 「SWANモスクワ編」1巻
有吉京子
平凡社

【2011年5月14日読了】

実家には「SWAN」本編全巻とってあるのだが、またそれを読み返したくなった。自分がモスクワで生活しているために、モスクワ編を読んで、「ちょっと違うんじゃないの?」と思うところも多少はあるんだけど、それよりもなによりも、これから先の人間関係がどうなるのか、そちらに興味津々。ある意味、先は判ってるんだけど。
A-8 「まいあ」Swan actU第四巻(漫画)
有吉京子
平凡社

【2010年3月9日読了】

まいあ第一部がこの四巻で終わりました。第二部はいつから始まるんだろう。というか、2010年1月から有吉先生はSwanのモスクワ編の連載を開始したそうで、そうなるとまいあ第二部は?と、疑問が残ります。Swanが好きだった人間としては、そちらの続編も勿論興味はあるのですが。
A-8 「ニジンスキー寓話」1−4巻
有吉京子
秋田文庫(漫画
)

【2009年10月26日読了】

どう考えてもモーリス・ベジャールのバレエ団をモデルにしているモダンなバレエ団の振付家と新人ダンサーの話。精神的な話の比重が大きく、更にはヴァーツラフ・ニジンスキーの人生をなぞっている部分もあったりして、それを知らない人にはかなり難しいと思われる作品。ベジャールとジョルジュ・ドンの関係なのかとも思う。3巻と4巻には「麗羅からの手紙」が前後編で収録されている。何故かこちらの作品は以前に読んだことがある。しかし、ロシア人の女性の姓には「〜ノフ」というのはないので、そこはもう少し調べて欲しかった(女性だったら同じ苗字でも〜ノワになる)
A-8 「まいあ」3巻
有吉京子
平凡社(コミック)

【2009年6月27日読了】

「SWAN」というバレエ関連の超有名な漫画の主人公の娘、まいあが主人公の漫画。両親共に素晴らしいダンサーで、自分も現在パリのバレエ学校でレッスンに励んでいるのだが、強烈な転入生リオの指摘で、自分がぬるま湯に浸かっていたことを思い知らされ、また怪我をしたことから、自分の体に関して理解を深めていくまいや。続きが楽しみ。
A-7 「リヴァイアサン号殺人事件」
ファンドーリンの捜査ファイル
ボリス・アクーニン
岩波書店(単行本)

【2009年1月15日読了】

ロシアの現代人気作家の作品で日本語訳が出版されているもの。ファンドーリンの捜査ファイルという名前でシリーズ化するようだ。第一作は別の出版社から、かなり前に出ていて、そちらも日本語訳で読んでいる。これはシリーズ第三作目の作品だが、第二作はまだ日本語訳が出ていない。19世紀のロシアの若手外交官ファンドーリンが事件を解決するスタイル。謎解き自体は余り面白くない。ミステリーと言う点ではお勧めはしないが、アクーニン(本名チハルチシヴィリ)は日本文学研究者で、日本つながりで読んでおこうかなと思った次第。ロシア語で読んだ方が面白いのかもしれない。
A-6 「ふわふわ」
村上春樹・安西水丸
講談社文庫

【2010年6月25日読了】

猫好きの村上さんらしい童話のようなお話。安西さんのウマ下手?な絵と一緒になると、猫のふわふわ感が増している感じがする。しかし、村上ファンでも、猫を特に好きでもない人が読むと、「なんだこれ」にならないとも限らないので、要注意。
A-6 「日出る国の工場」
村上春樹
/安西水丸
新潮文庫

【2010年1月15日読了】

村上安西コンビの色々な工場見学記。珍しいところでは結婚式場も。したことないけど、結婚式を挙げた気になれます。というか、やりたくなくなるかも、これ読んだら。モスクワ郊外の陶器工場の工程見学に行ったことを思い出した。目の付け所が面白い。村上さんも安西さんも。しかし、村上さんはエッセーだと無駄口とも思える饒舌さ加減がおかし過ぎる。
A-6 「70パーセントの青空」
安西水丸
角川文庫

【2008年7月31日読了】

村上春樹さんとの共著が有名な安西さんの青春小説。自分の体験を基にしていると思われる。60年代、70年代の若者の青春という点ではイラストレーターの和田さんのエッセイと同じにおいを感じた。
A-5 「帰りたかった家」
青木玉
講談社文庫

【2008年4月27日読了】

幸田露伴の孫、幸田文の娘である作者の自伝的エッセー。どこからが自分で覚えていることなのか、それとも話を他人に聞かされて覚えていることなのか、不思議な、しかし落ち着く文章だった。他の作品も読んで見たい。
A-4 「サワコの和」
阿川佐和子
幻冬社文庫

【2011年5月30日読了】

いつもの阿川さん流エッセー。読みやすいのでつい手にとってしまう。凄い共感するとか、全然ないのだが、嫌味なことは書かれていないし、ちょっと読書がしたい時にいいかな。父である阿川弘之さんの父親としての姿がほほえましい。
A-4 「タタタタ旅の素」
阿川佐和子
文春文庫

【2010年8月28日読了】

旅に関するエッセー。小さい頃の4つ年上の兄との東京から広島までの夜行列車の旅とか、中学の修学旅行の話、浅草でのどじょうを食する会の話など、一応旅(?)関連の話が、阿川さんの軽快な筆によって書かれている。訪れる場所も年齢によって感じることが違うという意見には同意。
A-4 「走って、ころんで、さあ大変」
阿川佐和子
文春文庫

【2010年4月6日読了】

今ではエッセイストとしても、作家としても有名な阿川さんの1冊目のエッセー。ニュースキャスターとして働き出して6年目に週刊文春に連載を始めることになり、それをまとめたものがこの本。子どもの頃の思い出話や、家族の話、仕事の話など、面白く読める。しかし、亀を死なせてしまった話は強烈。
A-4

「阿川佐和子のアハハのハ 
この人に会いたい
2」
阿川佐和子
文春文庫

【2010年2月1日読了】

週刊文春に連載されている阿川さんが有名人にインタビューをする対談集。この巻には93年5月から99年1月までの対談からピックアップされた23人分のインタビューが収められている。名前を知っている人もいるし、全く知らない人もいたので、楽しく読んだ。名前を知っている人も、そういうことを考えていたのかと思ったり、色々である。
A-4 「ときどき起きてうたた寝し」
阿川佐和子
文春文庫

【2008年3月11日読了】

阿川佐和子さんのエッセー集。90年頃に週刊誌に連載されていたエッセーをまとめたものなで、時事的なものを考えると、かなり昔かも、と思ってしまうが、人間が考えることは何年経ってもあまり変わらないかな、と思えた作品でした。結構自虐的に自分をネタにしてるところがありますが、それも好感度が持てるレベルで読みやすかったです。
A-3 「キャベツの新生活」
有吉玉青
講談社文庫

【2009年4月26日読了】

不思議な話。話の時間が前後して、入れ子状態になってるのかなと思ったが、実際にはそういうわけでもなく、実態がつかめず、ふわふわした感じだと思っていたら、最後の部分でネタバレがあって、ふわふわしているのも当然だと思った。センチメンタルな話だった。
A-3 「身がわり」母有吉佐和子との日日
有吉玉青
新潮文庫

【2007年10月8日読了】

坪田譲治文学賞を受賞した、作者が25歳の時に出た最初の本。作家である母との距離をもてあましていた自分の姿を正直に書いている。有吉佐和子の作品は、凄い昔に1つか2つしか読んでいないので、これを機に読んでみようかなと思う。有吉玉青の2作品目のエッセーも読んだが、NYで一人でがんばっているような印象だったが、実は結婚して夫の赴任について行ったと、この本の解説で知って、ちょっとしらけた。
A-2 「珍妃の井戸」
浅田次郎
講談社(ハードカバー)

【2008年8月2日読了】

浅田さんの中国物をはじめて読んだ。中国物と言っても、義和団事件から2年後のことで、登場人物はイギリス人、ロシア人、ドイツ人、日本人、それに韃靼族である愛親覚羅家の面々。義和団事件の時に変死した珍妃の死因を、4人の国籍の違う貴族達が一緒に調べるという形を取って、ミステリータッチで進む。義和団事件とか良く知らないので、どこまでがフィクションなのか分からないが、最後まで一気に読ませる話だった。
A-2 「天国までの百マイル」
浅田次郎
朝日文庫

【2007年6月23日読了】

良くも悪くもよく出来ている浅田作品。主人公の年代的に考えて、4人兄弟は多いよなあ、とか、自己破産までさせるか、とか、色々感想はあるものの、突拍子もない待遇の良い病院を「カトリック系」だからと言って千葉にあることにしたりするのも凄い。どちらかというとロードムービー的な感じで、場所を移動すること、物事を達成することで主人公が成長する物語。一ヵ月半前に亡くなった父も心臓病だったため、主人公の母の病状や投薬の話がやたらと分かる自分が悲しかった。
A-2 「地下鉄(メトロ)に乗って」
浅田次郎
徳間文庫

【2007年6月12日読了】

評価も高く作品数も多い浅田次郎作品。この作品は第十六回吉川英治文学新人賞受賞作品。前に「鉄道員(ぽっぽや)」だけ読んだことがあるが、中編を読むのは初めて。以前から上手い話を書く作家だというイメージはあったが、ここまで読者をひきつけるとは思わなかった。ただし、この作品の紹介文に「愛と冒険のファンタジー感動巨編」と書かれていたのには違和感を覚えた。
A-1 「めざせダウニング街10番地」
ジェフリー・アーチャー
新潮文庫
元イギリス下院議員のアーチャーならではの作品。しかし、彼の作品は他にも「ケインとアベル」、「百万ドルをとり返せ!」、「ロスノフスキ家の娘」等を読んでいるけど、サクセスストーリーがお得意です。彼の短編集も読みましたが、オチが見えてしまうのがちょっと…。現役の作家さんなので、新しい作品が楽しみです。

 

 

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