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Booksのページ「か〜」

 

 

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あ〜/か〜/さ〜/た〜/な〜/は〜/ま〜/や〜/ら〜/わ〜

 

タイトル・著者
その他

感想メモ

G-4 「おばちゃまはシリア・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月29日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第十四巻。多分最終巻と思われる。というのも、この作品が出版されてからもう7年も経つのに、新しいものが出てないから。この作品を書いた時点で原作者のギルマンさんは70代だったはずで、そろそろお年が心配される頃だしなあ、と思うのでした。それはそれで寂しいけど(まだ頑張ってるかもしれないけど)、作者が「終わり」って作品を出さないシリーズがあってもいいかな。この作品もシリーズ第一作で登場したファレルと一緒におばちゃまが活躍する。ファレルとおばちゃまのお互いの信頼度が分かる作品。
G-4 「おばちゃまはヨルダン・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月28日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第十三巻。今回も直接はCIAに関係なく、昔なじみのファレルがヨルダンに行かなくてはいけないのだが、カバー役としておばちゃまを貸してくれ、と夫のサイルスではなくCIAに頼みに行く。夫でも本人でもない人の同意が必要というのも、良く分からない。読んでいる間に、ずっと昔に読んだような記憶が出てきた。タイトルもすっかり忘れてたけど、こういうこともあるんですね。偶然頼んだガイドが良い人で、結局は彼の家族達に助けられて問題解決。悪い人も出てくるけど、良い人間と友達になって助けれてもらえるパターンの多いシリーズ。
G-4 「おばちゃまはアフリカ・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月28日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第十二巻。ケイディの幼馴染が首長として治めているアフリカの国から、NYのケイディにSOSの電話が入った。サイルスは彼女一人で行かせてはいけないと言い、結局おばちゃまとケイディの2人でのアフリカ行きが決まった。今回もおばちゃまは自転車に乗るという破天荒な行為を見せ、周りから驚きの目で見られることに。しかもその自転車を買ったのは中古屋で、そこの店主も後で事件解決に絡んでくる。途中、途中にあるサイルスとの電話通話が夫婦の愛情を見せていて良かった。
G-4 「おばちゃまはサーカス・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月26日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第十一巻。今回は頼まれてCIAの仕事をするのではなく、自宅の周りをうろつく変な白いヴァンが気になり始め、その後、なんと自宅の物置で女の子ケイディを発見してしまったおばちゃまが、自らCIAを頼りにして逃げ込んだ先がサーカスだった、という話。さすがにおばちゃまは芸人にはなれなかったけど、ケイディは若いだけに補助役とはいえ、立派に舞台に立った。しかし、ある日サーカスの仲間に危険が迫り、おばちゃまの家の周りにいた不審なヴァンとの関連が発覚し…。今回も夫君サイルスは蚊帳の外だが、子供の居ない彼らに養女のようなケイディができた。
G-4 「おばちゃまはシチリア・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月24日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第十巻。おばちゃまが一番最初のCIAの仕事をした時とサファリでの仕事の時に一緒になったファレルからのSOSでシチリアへ。サファリでおばちゃまが狙われた殺人者のアリストテレスが脱獄して?シチリアに出没?いつも冷静なファレルが恋に落ちたり、アリストテレスが自分から助けを求めておばちゃまの滞在する場所にやってきたり、捻りの効いている作品。
G-4 「おばちゃまは東欧スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月23日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第五巻。しかし、これは第三巻とされているサファリ・スパイよりも前のことらしい。東欧と書かれているが、結局はブルガリアからは出ないので、ブルガリア・スパイでもいいと思うんだけど。巻を追うごとに、おばちゃまのやることが派手になっていく、というか普通のおばちゃんじゃやりそうもないことをやっているということは、皆も気が付いていると思うけど。今回は若いアメリカ人の女の子が自分を発見する手助けも行ったみたいです。
G-4 「おばちゃまはアラブ・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月15日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第九巻。又もやご主人のサイルスの留守にCIAからの依頼を受けてしまうおばちゃま。しかし、今回は前回の冒険から1年も経っていて、その間一度も依頼がなかったことから、もう自分は必要とされていないのでは?と心配になるおばちゃまの新たな一面が。しかし、2人の子供も独立し、それぞれ家庭を持っているはずで、おばちゃまは一体何歳なんだろう、と疑問がわいてしまった。
G-4 「おばちゃまはハネムーン」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月15日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第八巻。前巻の「香港編」では捕まって拷問まで受けてしまったおばちゃまだが、その傷が癒えた頃にハネムーンに行くことに。しかし、そのついでに又もや運び屋の仕事を頼まれた。もちろんおばちゃまの行くところに簡単に済む仕事があるわけはない。訓練をしていない一般人の割には、このおばちゃまとサイルスの夫妻はやたらと頑丈に出来ている気がする。安心して楽しめるシリーズ。
G-4 「おばちゃまは香港スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月11日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第七巻。前の巻の終わりで再婚したにもかかわらず、名前はミセス・ポリファックスのままのおばちゃま。再婚相手のサイルスの留守の間にスパイの仕事の依頼が来てしまい、置手紙を置いて出発。おばちゃまが危なくなった時にサイルスは香港にやってきておばちゃま救出に力を貸す。この夫婦アマチュアの割りに物凄いことを平気でやってのける変な夫婦。アルペン・スパイの巻で見事な転身を図ったロビンが再登場。
G-4 「おばちゃまはシルクロード」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月8日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第六巻。手元に第五巻がないので、先にあるものを読むことにした。まあ、読んでなくても大勢に影響はない(サファリ編は読んでないと大変だけど)。今度はもう一人のスパイのバックアップで中国へ。しかし、これが書かれた80年代前半でアメリカ人が中国に入るのは、いかに観光旅行と言えども大変だったはず。前半はもう一人のスパイが誰だか分からなくて、それを考える楽しみがあり、後半はどうやって仕事を達成するのか、手に汗を握り、最後におばちゃまの人生が半分くらい変わるイベントがあり…と1冊でいくつも楽しめる。
G-4 「おばちゃまはアルペン・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月7日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第四巻。サファリの話よりも前に書かれたもの(と思われる)。今回もおばちゃまは自分がやらなくてはならないことから脱線し、ホテル・クリニックにいる11歳の少年の行動を気にかける。その上、ホテル・クリックの宿泊客の中に泥棒の男がいたのだが、彼がおばちゃまに協力するようになる。これもおばちゃまの魅力の賜物か?このシリーズの魅力とも言えるかも知れない。 しかし、アルペンという割には山登りとかがあるわけではない。

G-4

「おばちゃまはサファリ・スパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月6日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第三巻(原作では第五巻だそうだ)。 今回はアフリカ大陸のサファリツアーに参加するおばちゃま。そのツアーの中の誰かが暗殺者と依頼人だということで、参加者の顔写真をひとり残さず撮影してくることが今回の仕事だったのだが、結局おばちゃまは暗殺者を特定しただけでなく、再婚相手まで見つけてしまったというおまけ付き。彼女の天真爛漫さが全てを物語っているのか。

G-4

「おばちゃまはイスタンブール」
ミセス・ポリファックスシリーズ
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月5日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第二巻。さすがに原作が書かれたのが60年代後半なので、政治的な話は古い感じがする。しかし、それをカバーして有り余る魅力がミセス・ポリファックスにはある。奇想天外なストーリーなのだが、それでもなんとなく納得してしまう粗筋というのも凄いと思う。年齢がはっきりは書かれていないけれども、60歳台の彼女がこんな冒険が出来るのは凄いことだ。

G-4

「おばちゃまは飛び入りスパイ」
ミセス・ポリファックスシリーズ1
ドロシー・ギルマン
集英社文庫

【2007年7月3日読了】

ミセス・ポリファックスシリーズ第一巻。自分から希望してCIAにスパイになりたいと名乗り出て、単なる運び屋をするはずだったのに、気が付いたらアルバニアまで連れて行かれて、そこの見張りの人たちと仲良くなった挙句に、捕まっていた2人の男性と一緒に脱出。確かに奇想天外だけど、楽しくなってしまうような話であることに間違いはない。それもこれもミセス・ポリファックスが天真爛漫で、悪いことを考えないタイプだからかも。続きも楽しみに読みたいと思う。

G-3

「雪のひとひら」
ポール・ギャリコ

新潮文庫

【2007年5月5日読了】

雪の一片の一生を語りつつ、人間の女性の一生を語っていると思われる作品。そこにキリスト教的な考えも教示されている。哲学的とも言えるかもしれない。自分は何のためにどこから来たのか、誰が自分を創造したのか、どこに行くのか、など、人生の中で誰もが一度は考える事だと思う。それをファンタジーの形で語っている。挿絵もカラーで素敵。ただし話の作り方が綺麗過ぎて駄目な人には駄目かも。

G-2

「赤毛のアンの世界」
作者モンゴメリの生きた日々
M・ギレン
新潮文庫

【2007年5月4日読了】

モンゴメリの人生について書かれた文章に、原書に掲載されていた貴重な写真の数々、さらに日本での出版のためにモンゴメリの故郷であるプリンス・エドワード島の素敵なカラー風景写真が多数収められている本。今まで雑誌などでモンゴメリの一生などを読んだ事があったのだけれど、ここまで詳しく知らなかったので、興味深かった。同じ筆者による、より詳しい伝記も日本語に翻訳されて出版されているそうです。

G-1

「冬に来た依頼人」
五條瑛
祥伝社文庫

【2007年7月18日読了】

なんと表紙カバーの見返しの部分に作者近影が。この作家の顔写真を見たのは初めてで、それだけでもこの本を入手した甲斐があるというものだ(笑)。昔の同棲相手が久し振りに現れて、いきなり「夫を探してくれ」という。確かに人を探し出すことを生業にしている主人公だが、その相手の変わりように驚きながら、彼女の夫を探しつつ、彼女と別れた事情も段々分かっていくというもの。150ページくらいの短いお話で、すぐに読めてしまいます。どちらかというと軽過ぎです。まあ、五條さんの初期の作品も全部読みたい方には是非。
G-1 「夢の中の魚」
五條瑛
双葉社

【2006年10月13日読了】

五條瑛の鉱物シリーズに脇役(?)として出ていた洪(パク)という韓国の情報部員(日本での身分は韓国の新聞の特派員)を主人公にした物語。結構好きですね〜、私。鉱物シリーズの主人公の葉山も出てくるし。しかし、シリーズの方では、ここまで葉山の見た目に関して言及してなかったような気が…。ハーフとはいえ、かなりガイジン、ガイジンしてるのか。それはそれで面白いが。洪の相棒のパクもなかなか良い味出してるし。他にも鉱物シリーズのサイドストーリーがあるようなので、探して読んでみようと思います。

G-1

「スリー・アゲーツ」
五條瑛
集英社文庫

【2006年9月12日読了】

こちらは「鉱物シリーズ」の第二作目です(第一作は「プラチナ・ビーズ」)。前作を読んでから、かなり時間が経っていたため、登場人物の関係を忘れてしまっていました。でも、第一作を読んでいなくても全然大丈夫。情報関連(スパイとも言う)、北朝鮮と韓国とアメリカと日本の関係などの話です。今回は人間味がある話だったと思うのですが。続きがあるようなんですけど、まだ発売されてないらしい。

K-38

「ロシア文学裏ばなし」
虫眼鏡で見た作家の周辺
工藤精一郎
中公新書

【2010年12月10日読了】

もしかして、以前に読んだかもしれない本だったが、どこにも記録がないので、わからない。記憶があるようなないような話が並んでいたが、作品よりも作家本人に興味がある場合は読んでいて面白い話が多かった。また、最近行ったドストエフスキーが住んでいた家の近くの地名の話とかも身近に感じられた。

K-37

「前線」捜査官ガラーノ
パトリシア・コーンウェル
講談社文庫

【2010年11月25日読了】

捜査官ガラーノのシリーズ第二弾。一作目の方が面白かった。アメリカの刑事物にありがちな、検事が現場に来る話(実際には45年前の事件の捜査なので事故現場がないから来ないけど)。どうも日本人的にはそれが違和感を覚える。この先も続きがあるなら、人間関係がどうなるのか楽しみ。ウィンのお祖母ちゃんのナナの頭の中を覗いてみたい。

K-36

「わたしが泣くとき」
黒木瞳
幻冬舎文庫

【2010年6月20日読了】

女優黒木瞳のエッセー。宝塚出身ということは知っていたが、どういう背景を持った女優か、などの情報無しに読んだので、人間を知るという点において興味深かった。会社員のご主人との馴れ初めや宝塚入学のこと、同期生の事故死などについて書かれている。もう少しテーマが絞ってあると統一感があったのに、と思ったが、これはこれでいいのかもしれない。
K-35 「鏡の国のアリス」
ルイス・キャロル
新潮文庫

【2010年4月16日読了】

「不思議の国のアリス」を読了したので、続編の「鏡の国のアリス」も続けて読んでみた。チェスの遊び方がわからないと、ちょっとわかりづらいけれど、判らなければ判らないなりに面白いと思った。まあアリスの夢の話なので、全てが破天荒で面白いといえば面白い。帽子屋も「不思議の国」に続いて出てくる。
K-35 「不思議の国のアリス」
ルイス・キャロル
新潮文庫

【2010年4月10日読了】

昔から何度も色々な版で読んでいる作品。今回は矢川澄子さんの訳。正直、最初はちょっと受け入れがたい感じがあったが、最後にはなんとなく慣れて読み終わった。また挿絵が慣れ親しんだジョン・テニエルのものではなかったため、違和感が多いにあった。

K-34

「ロシアの文字の話」
ユーラシアブックレットNo.57
小林潔
東洋書店

【2010年2月2日読了】

ロシア文字の起源から、18世紀後半と20世紀前半の2回に渡って行われた歴史的な改革について、果てはPCでのフォントの話までちょっとずつたくさんのロシア語の文字についての話が書かれている。ロシア語に興味のある人は多分楽しめます。教会ロシア語は難しいと思ったら、昔のキリル文字そのまま使ってるんですね。

K-33

「虚栄の肖像」
北森鴻
文春文庫

【2011年2月27日読了】

シリーズとしては、本来であればもっと続く物であったのかもしれないが、作者が亡くなってしまったために、佐月と父親の葛藤などは明るみに出ないままとなってしまった。佐月の父は一体何があって、絵画修復師として没落し、亡くなったのか。今となってはかなわない夢だが、読んでみたかった。

K-33

「深淵のガランス」
北森鴻
文春文庫

【2011年2月24日読了】

銀座の花師であり、絵画修復師でもある佐月。彼の存在自体がミステリアス。また、花師の仕事よりも絵画修復師の仕事の方がミステリーとしては収まりが良いようで、そちらの話がメイン。仲介者の女性は冬の狐ということで、彼女かな、と、他の北森作品を読んでいる人にはすぐ分かる仕立て。

K-33

「なぜ絵版師に頼まなかったのか」
北森鴻
光文社文庫

【2011年2月6日読了】

帯には本領発揮と書かれているが、私的にはどうもそれぞれの短篇の謎が謎に思えず、物語に入り込めなかった。時代背景が明治で、時代になじみがなかったからなのかもしれない。しかし、ところどころに見え隠れする軽い感じのギャグには笑った。

K-33

「香菜里屋を知っていますか」
北森鴻
講談社
(単行本)

【2010年11月10日読了】

ビア・バー香菜里屋シリーズ最終巻。今まで謎だったマスター工藤の過去が明らかに、ということで読んでみたが、結局は謎が謎を呼んだ形になって、最後にすっきりすることはなかった。北森さんの他のシリーズの登場人物が総出演、という形で、豪華なのは確か。北森ファンには嬉しい1冊。

K-33

「狐罠」
北森鴻
講談社文庫

【2010年8月21日読了】

冬狐堂シリーズ長編第一弾。前に別の出版社から出ている短編集を読んだことがあるが、登場人物は同じだったので、同じシリーズということだろう。ちょっと分厚くて、途中中だるみがあって、読むのを止めていた(他の小説を読んでいた)時期があったので、読み始めてから読み終わるまでえらい時間がかかった。骨董品に興味があったら、のめり込むかもしれないシリーズ。

K-33

「蛍坂」
北森鴻
講談社文庫

【2010年5月27日読了】

ビア・バー香菜里屋シリーズ第三弾。読んでいてほっこりする部分もあるが、何となく違和感も感じることが段々多くなってきた。四冊目でシリーズは終わりだそうなので、どんな終わり方をするのか、ちょっと気になる。マスター工藤の過去が明かされるらしいが、謎のままでもいいような気もする。

K-33

「桜宵」
北森鴻
講談社文庫

【2010年5月25日読了】

ビア・バー香菜里屋シリーズ第二弾。マスター工藤といわくあり気なバーマン香月も登場し、ますます興味深さ加減が深くなった。常連たちが上手く配置されていて、読み応えもある。しかし、おいしそうな食べ物がたくさん出てくるので、空腹の時はなるべく読まないようにしたい。

K-33

「親不孝通りディテクティブ」
北森鴻
講談社文庫

【2010年4月21日読了】

短編連作集。結局テッキが東京で何をやっていたのかとか、分からず終い。最後はちょっと強引過ぎたかもしれない終わり方で、何となく納得できない。キュータは馬鹿な男の典型、のような感じ。読みやすいです。

K-33

「花の下にて春死なむ」
北森鴻
講談社文庫

【2010年4月3日読了】

「香菜里屋」という三軒茶屋にあるビア・バーを舞台に、客とマスターの工藤とのやり取りで進んでいく話。シリーズ物らしいので、全部読んでみたい。お酒は飲まないけど、おいしそうな料理がたくさん出てくるので、かなり食べたくなる感じ。第52回日本推理作家協会賞。短編および連作短編集部門受賞作。

K-33

「メイン・ディッシュ」
北森鴻
集英社文庫

【2009年12月26日読了】

最初、全く違う話が交互に挟みこまれているのかと思ったら、途中でそれが交錯し、最後には何とそういうことかと納得。おいしそうな食べ物がたくさん出てきて、しかも自分でも作れそうな感じで書かれていて、試してみたくなった。初読み作家だったので、他の作品も読んでみたい。

K-32

「エルミタージュの鼠」
熊谷独
新潮社
(ハードカバー)

【2009年9月21日読了】

ロシア語学科卒で日ソ貿易商社に勤めていた著者らしい、ソ連崩壊直後のモスクワとペテルブルグを舞台にしたミステリー。しかし、ソ連崩壊後15年以上経って読んでみると、その後も無くならなかったビザ問題とか(ロシア国籍保有者が外国に行くのにビザが必要)、すっかり無視しているところが変と言えば変。そういう細かいところを無視すれば、ロシア通の人が読んでも、手に汗握るエンターテイメントと言える。しかし、あのエルミタージュに泥棒に入るっていうのも凄いなあ。結局日本人をペテンにかけたのが誰だか判らなかったが、知りたかった。

K-31

「40前後、まだ美人?
−若くなくても、いいじゃない」
岸本葉子
文春文庫

【2009年4月12日読了】

怒涛のバレエ公演鑑賞の合間を縫って読んでいたので、疲れない、軽いものを、と思って手に取った。別に内容が軽いわけではなく、さくさく読めて、共感できる感じが良かった。女性のマンション1階の一人暮らしの心配感とかが実感でき る。色々工夫してるというのも分かるし、女性の一人暮らしでなくても、共感できる部分はたくさんあると思った。

K-30

「触れもせで」向田邦子との二十年
久世光彦
講談社(単行本)

【2009年2月9日読了】

TVドラマのプロデューサーだった久世さんが、脚本家として一緒に仕事をしていた向田邦子のことを、彼女が亡くなった後雑誌に連載していたもの。久世さんから見た向田さんがどんな女性だったか良く分かった。他人から見たら分からないけど、本人達の関係はとてもよい関係だったのだと思う。

K-29

「大極宮」
大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき
角川文庫

【2008年12月24日読了】

大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆきが所属している大沢オフィスの公式サイトの中の毎週の更新分+エトセトラ。2001年3月から2002年2月までの週刊大極宮が収められている。宮部さんの語るげーむの話も分からないし、京極さんの妖怪も分からん。大沢さんのゴルフも分からん。でも、なんとなく読んでて楽しい裏話。

K-28

「スペース」
加納朋子
創元推理文庫

【2011年4月17日読了】

駒子シリーズ第三作。前の2作品は短編集だったけど、これはかなり趣の違う作品に。前半と後半で一つの事実を、鏡の裏表のように描いて見せている。同じ人間のことも、駒子の目線と、他の人の目線では全く違って書かれていたり、色々深かった。そして、また不思議な人と人の繋がりが。まだ続編が書かれてもおかしくない状況だけれど、まだ出版されていない模様。しかし、加納さんのご主人が貫井さんだとは知らなかった。
K-28

「魔法旅行」
加納朋子
創元推理文庫

【2011年4月14日読了】

駒子シリーズ第二作。瀬尾さんに薦められて、自分も文章を書いてみようと挑戦する駒子。彼女の作品を瀬尾さんが読んで、返事を書くスタイル。駒子の作品が独立した作品として書かれているわけではないので、どこまでが作品なのか、今一つわかりかねる。瀬尾さんと駒子の関係の行方も気になる。
K-28

「ななつのこ」
加納朋子
創元推理文庫

【2011年4月13日読了】

駒子シリーズ第一作。日常の謎を推理する形をとっているが、それよりも人間関係というか、そちらの方が注目したいかも。読み終わってほっこりするタイプの作品。ちょっと入れ子式の短篇集なので、難しいと感じる人がいるかも。

K-28

「モノレールねこ」
加納朋子
文春文庫

【2010年6月18日読了】

表題作は最初小学生のほのぼのとした猫を介した手紙の交流が、猫の交通事故死によっていきなり断ち切られ、社会人になってからその線が繋がったというほのぼのした話。「バルタン、最期の日」はザリガニ目線の話で、結構泣ける。人との関係を温かい目で描いた短編集。
K-28 「虹の家のアリス」
加納朋子
文春文庫

【2008年12月18日読了】

「螺旋階段のアリス」の続編。家出中の安梨沙が身を隠した場所は順平の長女のアパートだった。生活できるだけの稼ぎすらないのでは、と思えるほど暇な探偵事務所。日常の謎を解きながら、安梨沙の問題も片をつけることにしたようだ。順平の息子とその彼女も登場。ミステリーとしては弱い感じがした。
K-28 「螺旋階段のアリス」
加納朋子
文春文庫

【2008年12月17日読了】

大会社を早期退職し、私立探偵になった仁木順平と彼の事務所に現れた美少女安梨沙が日常の謎を解く短編連作。ルイス・キャロルのアリス・シリーズを読んでないと、ちょっと分かりにくいかもしれない。しかし、私立探偵になったはいいけど、全然才能がなさそうな順平。奥さんは有名なシナリオライターらしいし。生活のための収入を考えていないとしか思えない。

K-27

「ボリショイ・バレエ」
その伝統と日本人ソリスト岩田守弘
ユーラシア・ブックレット129
北川剛史・北川裕子
東洋書店

【2008年12月8日読了】

第一部は岩田さんについて、第二部はボリショイの今昔。結構突っ込んだ話も書かれていて、興味深い。もっと今活躍しているダンサー達について、詳しいことが書いてあれば、もっと面白かったのに、と思う(これだけじゃ足りない、という感じですね)。

K-26

「ロバート・キャパ写真集
戦争・平和・子どもたち」
宝島社文庫

【2009年1月18日読了】

序文にキャパの詳しい伝記を書いたウィーランとキャパの弟のコーネル・キャパの文章が掲載されている、戦争を中心としない、戦時中の子供の居る風景を中心とした写真で構成されている写真集。死の直前に訪れていた日本の子供達の風景も含まれている。ウィーランによるキャパの伝記を読みながら、この写真集を見ていると、そこに掲載されている写真について言及されている部分もあるので、リアルタイムで体験できる感覚で写真を見ることが可能。

K-26

「ちょっとピンぼけ」
ロバート・キャパ
文春文庫

【2008年10月29日読了】

一応一眼レフも持っていて、たまに写真を撮ることもやっているため、超有名なカメラマン、ロバート・キャパにも興味を持っていた。これは本人が書いた、1943年から45年までの出来事。時代が時代だけに(第二次世界大戦中)、色々な出来事が起こるが、恋と仕事と戦争、という背景で、この人は何を考えていたのか。他にもキャパに関する本を読んでみたいと思った。

K-25

「エーミールと探偵たち」
エーリッヒ・ケストナー
岩波少年文庫

【2008年12月6日読了】

ケストナー作品を全部読んでみたいのだが、中々読めない。これも面白かった。勿論今の時代とはマッチしていないのだが、そういうことを抜きにしても、田舎から出てきた少年を、町の、ある意味悪がき達が一緒になって助けてあげるところが好き。皆で一致団結ということが良く分かるし、役割分担に関しても良く分かる。ちょっとだけ説教臭いけど。
K-25 「ふたりのロッテ」
ケストナー
岩波少年文庫

【2008年9月8日読了】

夏のキャンプで会った自分にそっくりな2人の女の子。実は両親が離婚して、それぞれに引き取られた双子だった。キャンプの終わりまでに事実を突き止め、入念に大胆な計画を練り、実行に移す2人。最後は心温まるお話になっている。説教臭い話にもなっていないし、他のケストナーの作品も読みたい。
K-24 「風が見ていた」上下
岸惠子
新潮文庫

上巻【2010年2月2日読了】
下巻【2010年2月4日読了】

岸惠子の自叙伝的小説。彼女のエッセーは結構読んでいたものの、小説は初めて読んだ。明治から昭和の後半まで、主人公の衣子の祖父の時代から始まっている物語である。ご本人がドラマティックな人生を歩まれたせいか、その人生を下敷きにしたこの作品もかなりドラマティックで読ませる。全くの作り話でもなく、全くの事実でもない。しかしぐいぐい引きつけられて、時間も気にならずに読み進めることが出来た。上下巻とも表紙は娘さんの作品。
K-24 「巴里の空はあかね雲」
岸惠子
新潮文庫

【2009年1月4日読了】

女優である岸惠子さんのエッセイ。これはかなり初期の頃のものらしい。シャンピ氏との離婚から、10年後の彼の急死までの間のことが書かれている。日本文芸大賞のエッセイ賞受賞作品。見た目と違い、結構頑固者で、べらんめえ調の口調を駆使する岸さんにびっくりしつつも、人生で一番辛かった時期のことを明るく書いていることが素晴らしいと思う。
K-24 「30年の物語」
岸惠子
講談社文庫

【2008年9月8日読了】

12編からなるエッセイ集。40年以上フランスと日本を往復し、母親の住む横浜と自分と娘のアパートのあるパリを拠点とし、さまざまな仕事をこなしている筆者。他人から見たらうやらましいかもしれないが、その人にはそれなりの苦労があるものです。そんな苦労についてもさらっと書いてあるのが不思議。

K-24

「ベラルーシの林檎」
岸惠子
朝日文芸文庫

【2008年9月5日読了】

第42回エッセイスト・クラブ賞受賞作品。24歳でフランス人の映画監督であり医師でもあるイヴ・シャンピとの結婚のため外国に住み、その後色々あったが、その間に日本に住んでいたのでは体験できないような仕事なども受け、それらによって感化された人間によって書かれたエッセイ。ソ連が崩壊した直後に、仕事の関係でポーランドからバルト三国へ抜ける列車の旅をした筆者が出会ったベラルーシの住人のおばさんがカバンから出して食べていた林檎が作品のタイトルとなっている。

K-23

「私の人生 私の昭和史」
上坂冬子
集英社文庫

【2008年9月3日読了】

ノンフィクション作家の上坂さんの半生と作品のこぼれ話を知ることが出来る作品。彼女の作品は戦後=昭和史であり、彼女自身の人生も昭和史と重なる。この作品には登場していないが、ハル・ライシャワーさんについて書かれた上坂さんの本を読んだことがある。興味深いノンフィクションを書く人の人生も興味深かった。

K-22

「メンデレーエフ」
元素の周期律の発見者
ユーラシア・ブックレットNo.110
梶雅範
東洋書店

【2008年3月27日読了】

確か中学生の時に「すいへいりーべぼくのふね…」と暗唱して覚えた元素の周期律を発見したロシアの科学者、メンデレーエフに関してのブックレット。モスクワ郊外のメンデレーエフの別荘だった建物が博物館になっていて、2007年にそこを訪れた時、数年前に日本のメンデレーエフ研究家が来た話を聞いていたのだが、この冊子の著者である梶さんがその人だったので、興味を惹かれて読んでみた。科学に関する部分は良く分からなかったものの、離婚再婚話とか(再婚相手が26歳年下!)、息子の長崎の現地妻とその子供の話とか、なかなか興味深いものがあった(実は博物館で担当者からどちらの話も聞いていたが)。

K-21

「古道具 中野商店」
川上弘美
新潮文庫

【2011年4月27日読了】

川上ワールド健在。恋愛小説だけど、さらっとしているようで、でも重たい内容。結構好きかな。50代のマサヨさんと20代のヒトミさんが同じような悩みを抱えているのを見ると、人間、年は関係ないよな、と思う。タケオとの再会はちょっと作り事っぽいけど、最後の中野商店の再出発と皆の再出発という意味では良い終わり方だと思う。

K-21

「風花」
川上弘美
集英社(単行本)

【2010年12月31日読了】

川上弘美の不思議な世界が好きで読んでみたが、この作品は不思議な感じは全く書かれていなくて、普通の恋愛小説だった。しかも、主人公の女性には全く感情移入が出来なかったし、なんでこの旦那と一緒になったのかも判らず、理解不能だった。叔父さんも不倫してるし、不倫を肯定的に捉えているのか?よく判らなかった。

K-21

「神様」
川上弘美
中公文庫

【2010年7月10日読了】

デビュー作「神様」を含む短編集。「神様」でパスカル短篇文学新人賞受賞。作品集としての「神様」でドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。ところどころ登場人物が重なっているので、連作かと思った。童話のような不思議な独自の世界が広がっている。熊や人魚などが普通に登場し、人語を理解し、話す。その世界が癖になる人もいるかもしれない。

K-21

「パレード」
川上弘美
新潮文庫

【2009年5月4日読了】

「センセイの鞄」の番外編とも言える作品。ほのぼのしていて、ちょっと不思議な川上ワールドが広がっている。また吉冨貴子さんによるイラストがいい感じで脱力感が出ている。

K-21

「ニシノユキヒコの恋と冒険」
川上弘美
新潮文庫

【2009年3月6日読了】

相変わらずの川上ワールド。ニシノ君の年齢が飛び飛びで、しかも年齢順には話が並んでなくて、それなのに、世の中は全然変わってないみたいな不思議なお話。しかも、こういう人間関係って、私には分からない。多分ニシノ君も自分の人間関係が分からないまま年をとって、分からないまま死んじゃったのかもしれない、と思った。

K-21

「あるようなないような」
川上弘美
中公文庫

【2009年2月19日読了】

不思議な独自の世界を展開している川上弘美の第一エッセイ。小説同様エッセイも不思議な作品だった。うーむ、この人が女子校の理系の先生だったとはあまり考えたくないかも。しかも2人の男の子の親だし。この人の作品は、エッセイでさえも生活観が余り感じられないというのが私の感想である。

K-21

「龍宮」
川上弘美
文春文庫

【2009年1月20日読了】

いつも日常が普通の日常とちょっと違う感じの作品になる川上さんの、人間と人間でないものの共生というか、それが当たり前のような状態での日常を描いた短編集。人間か、人間でないか、ということよりも、個々の関係や感情などは普通に人間同士と同じ交流ではないかと思わされる。現代の寓話か?

K-21

「溺レる」
川上弘美
文春文庫

【2008年10月24日読了】

不思議な感覚の短編集。事件も起こらないし、話も突然終わったりするのが不思議。日常の一部を切り取って言葉にしているだけなのか、それだけでは言い表せない何か、なのか。もっと読みたくなる不思議な川上さんの世界が広がっている。女流文学賞と伊藤整賞W受賞だそうだ。

K-21

「センセイの鞄」
川上弘美
文春文庫

【2008年6月3日読了】

谷崎潤一郎賞を受賞した作品。駅前の居酒屋で高校の時の国語の先生に再会したツキコさん。別に待ち合わせをしているのではなく、気が向くとその居酒屋で隣り合わせに酒を飲んで、それぞれに精算をして帰っていく2人。センセイとは30歳くらい離れているのに、どんどんその存在がツキコの中では大きくなってきて、センセイもツキコさんの思いに応えるところが凄い。途中で不思議な話も含まれてたりして、ちょっと良く分からないけれども最後にはジーンとする作品。

K-21

「真鶴」
川上弘美
文藝春秋

【2008年2月23日読了】

初読作家。不思議な世界を持つ作家だと思いました。不倫をしている、夫が10年以上前に失踪した、中学生の娘のいる40台半ばの女性が主人公。文章を書く仕事をしているというのは分かるのだが、作家という訳ではないような。娘との距離感、不倫相手との距離感、さらには何故か「ついてくるもの」まで登場して、不思議な世界に。他の作品も読んでみたい。

K-20

「疑心」隠蔽捜査3
今野敏
新潮社
(単行本)

【2011年2月6日読了】

所轄警察署長の竜崎が、何故か米国大統領来日の際に方面警備本部長を仰せつかるが、それと同時にキャリア美人警察官の存在に心が惑わされる。妙に第三者的に自分を判断しつつ、それでも気持ちの動揺が隠せない竜崎。事件の方は事前にテロ計画犯を逮捕できたことで面目は免れる。奥さんがいい味出している。

K-20

ST警視庁科学特捜班
緑の調査ファイル」
今野敏
講談社文庫

【2010年12月19日読了】

ST警視庁科学特捜班シリーズ。今回の主役は一般人には聞こえない範囲の音まで聞こえてしまう結城翠。クラシック音楽に詳しいとは思えない面子がクラシックに関連する事件に巻き込まれた。彼女と同じような耳の持ち主が現れ、話は複雑になるかと思いきや。結構簡単に青山君が解決します。2時間程度で読めてしまいました。

K-20

「曙光の街」
今野敏
文春文庫

【2010年11月28日読了】

「白夜街道」の前作に当たる作品。先に2冊目を読んでしまったので、こちらも読んでみた。元KGBで傭兵としても働いていたことのある日本人とのハーフのヴィクトルに、元上司で現マフィアのアレクサンドルから、日本のやくざを殺して欲しいとの依頼が。ヴィクトル、やくざの兵藤、公安の倉島3人のキャラが立っているので、それぞれに感情移入できて面白い。シリーズ三作目もあるそうなので、読んでみたい。

K-20

「白夜街道」
今野敏
文春文庫

【2010年7月9日読了】

読み始めてから「曙光の街」という作品の続編だと言うことが判明。まあ、最初の作品を読んでいなくても十分話には付いていけるので問題はなかった。日本人とロシア人のハーフなのに元KGBというのも凄い設定。あと、カザフスタン人であることを隠してロシアのパスポートを持つことにびっくりしている場面があるが、ロシアには人種はカザフだが、ロシア国籍の人なんて山のようにいるので、人種を隠しているという設定自体が変。アクションものとして読む分には面白く読めた。

K-20

「黒いモスクワ」
今野敏
講談社文庫

【2010年6月2日読了】

個人的に黒崎がモスクワに行くために10日間の休暇を申請した。それと同時に百合根と赤城がモスクワに出張に行くことになった。何故か黒崎の乗った飛行機に山吹が乗っており、そこで知り合ったオカルトに詳しいフリー・ジャーナリストがモスクワで怪死したことから、結局ST全員がモスクワに集合。日本人が死んだ割には大使館員とか全く出てこないし、FSBの担当者のみが対応しているなんて、絶対に変。エンターテイメントとして読むには面白かった。

K-20

「果断隠蔽捜査2
今野敏
新潮文庫

【2010年5月29日読了】

「隠蔽捜査」の続編。家族の不始末で降格人事で大森署の署長になった竜崎だが、担当地区内で緊急手配の犯人3人のうち、1人を逃してしまい、その後の立てこもり事件を誘発したかのように見えたが、実際には事件は全く別の様相を見せた。皆が皆竜崎のような考え方をしていたら、日本の警察もまったく別の組織だったのだろうと思う。しかし、家では妻がいないと何がどこにあるかも判らない、単なるオヤジと化しているのが笑えた。

K-20

「毒物殺人」
ST警視庁科学特捜班
今野敏
講談社文庫

【2008年8月7日読了】

STシリーズ第二作。STとは警視庁科学特捜班のことだが、5人の特殊技能を持つ研究員達を捜査に参加させるために集めたのだが、本人達が捜査に参加したがっているとは思えない態度で、まとめ役の百合根一人が困っているのが笑える。シリーズを通して、百合根と特捜班の5人、また警視庁の菊川などの登場人物たちの人間関係などに変化があるのかどうか、そちらに興味が湧く。

K-20

「隠蔽捜査」
今野敏
新潮文庫

【2008年6月4日読了】

吉川英冶新人賞受賞作品。しかし、作家としてデビューしてから20年以上経って新人賞を受賞するって言うのも分からない。警察庁に務めるキャリアの竜崎。私は警察庁という省庁を知らなかったので、そういうところもあるのかと思いながら読んだ。キャリアだけれども、仕事の捉え方が不思議と言うか、変わっていて同期の幼馴染にも変人扱いをされる。竜崎自身が事件を解決するわけではないものの、息子の不祥事の解決の仕方や危機管理に関してなど、今まで読んだ警察小説とは一線を画す作品。

K-20

「ST 警視庁科学特捜班」
今野敏
講談社文庫

【2008年2月3日読了】

今野さんは初読みでした。たくさんの警察シリーズをお持ちなので、どれから読もうかなと思っていたのですが、たまたまパリのブックオフでこの文庫を発見したので購入して読んでみました。かなり型破りな科捜研の5人からなるSTと呼ばれるグループとそのまとめ役に抜擢(?)された百合根警部が中野署と警視庁の合同捜査に借り出され、警視庁の菊川警部補と一緒に事件を解決する話。確かにシリーズ化しやすい話のつくりだ。1作目はまあまあ読みやすくて、さくさく読んでしまったので、続きをもう少し読んでみたいと思う。

K-19

「ふたつめの月」
近藤史恵
文春文庫

【2011年5月20日読了】

「賢者はベンチで思索する」の続編。ミステリーというよりは、久里子の成長物語。人間関係が重視されていて、新しい登場人物も出てきたけれど、これはこのまま終わってしまうのかな。ミステリーを絡めない、普通の小説として書かれてもいいとは思うのだが。

K-19

「狼の寓話」南方署強行犯係
近藤史恵
徳間文庫

【2011年4月18日読了】

南方署シリーズ第一作。実は先に第二作を読んでしまっていたのだが、半分話を忘れていたので、新鮮な気持ちで読んだ。全体的に何となく中途半端な感じが否めない。結局黒岩さんの同居人は戻ってきたのだろうか。事件が解決したのはいいのかもしれないけれど。

K-19

「巴之丞鹿の子−猿若町捕物帳」
近藤史恵
光文社時代文庫

【2011年3月13日読了】

最後はハッピーエンドだったけれど、何かしっくりこなかった。しかし、途中で2つの話がまとまりつつ、よく判らない感じで終了。女形の歌舞伎役者が主役なのか?シリーズ物をしばらく読み進めてみようと思う。

K-19

「黄泉路の犬」南方署強行犯係
近藤史恵
徳間文庫

【2010年12月25日読了】

「狼の寓話」の続編。一作目を読んでいなくても、特に問題なく読み進むことが可能。人物のキャラが立っているので、安心して読める。事実2時間くらいで読了してしまった。しかし、どちらかというと、精神的な問題を扱っているので、読了後にゆっくり考えることが出来れば、という感じかな。

K-19

「賢者はベンチで思索する」
近藤史恵
文春文庫

【2010年12月25日読了】

日常の謎的なミステリー。でも、なかなかひねりが効いていて面白かった。近藤さんの歌舞伎に関連しない話は初めて読んだ。ミステリーだけでなく、主人公の女性の家庭の話や近所づきあいの地域的な話など、女性ならではの作品だと思う。

K-19

「桜姫」
近藤史恵
角川文庫

【2010年12月22日読了】

梨園を舞台にした、今泉探偵物。どうもシリーズらしい。探偵の今泉と彼の大学時代の同級生で、歌舞伎の三階役者の瀬川小菊が出てくるのだが、この2人の登場する話は以前に「ねむりねずみ」という作品で読んでいる。それと同じ作者だったのか。記憶のかなたに消えていて、殆ど覚えていなかった。

K-19

「ねむりねずみ」
近藤史恵
東京創元社

【2008年1月30日読了】

多分初読みの作家さんです。どこかで読後感想を読んで、興味を持ったので読んでみました。歌舞伎界で起こった殺人か事故か自殺か不明な事件。それを大学の同級生が調べているのだと思い込んで、自分から首を突っ込む女形の小菊。しかし、同級生が調べていたのは歌舞伎界の御曹司の病気の理由だった。なんとなくまどろっこしくて、章が変わる度に話し手も変わるのが今ひとつ分かりにくく、最後は「どうしてこうなったんだ?」と、ちょっと頭を抱えた。

K-18

「父と子のモスクワ日記」
川上恭正
三修社

【2007年10月26日読了】

70年代から80年代にかけて、足掛け5年をモスクワ特派員として過ごした川上さんの4人家族の暮らしぶりを、息子さんたち(幼稚園から小学生までの時期)の日記を基にして再構築したもの。ソ連時代でも今と変わらないところもあり、日本人同士の交流の仕方や、ロシア人との用心深い付き合い方など、面白く読んだ。

K-17

「キウィおこぼれ留学記」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2010年4月20日読了】

エッセが楽しい小林聡美の、今度はたったの10日間の(しかも学校は復活祭の休みも重なり4日間)留学記。その途中で具合まで悪くなり、学校も1日休み、という波乱万丈?な旅だった模様。相変わらず行く先の国などに特別な興味を持っていない小林さん。それでも楽しめてしまうのは天性の物かもしれない。

K-17

「ほげらばり」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2010年3月25日読了】

「サボテンのおなら」に書かれているメキシコ旅行を、今度はエッセイ風に文章にしたもの。やっとこの旅行が編集者と社長と本人の3人ということが分かった。しかし、企画物だけに、本人がその土地に思い入れがなくて、それが逆に新鮮な感想とも言えるものを引き出しているかもしれない。おとぼけは作者の持ち味だし。しかし、この本を読んでメキシコに行きたくなるかと言えば、私はあまり行きたくないかも。

K-17

「案じるより団子汁」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2010年3月14日読了】

90年代半ばにTBSラジオで放送されていた小林聡美のラジオ番組の文庫化。本人も初めてのパーソナリティだったらしく、初々しい感じが何とも言えず好感が持てる。しかし、ラジオ番組を文章化したものは、聴くのと読むのは大違いだと思う。ゲストに関しては、もう少しどういう人間関係なのか説明が必要な気がした。

K-17

「サボテンのおなら」
小林聡美・作
平野恵理子・絵
幻冬舎文庫

【2010年3月13日読了】

メキシコ旅行記エッセイ。写真と絵で伝わるものが違う。普通の観光旅行とは一風変わった旅行なのか?(何か仕事の旅行のようなので)絵を描いている人も一緒に旅行に行ったのか、行ってないのか、全然そういうことも分からないし(気になる私が変なのか?)、ある意味不親切なエッセー。でも、小林聡美が旅行を楽しんだことだけは伝わってきた。

K-17

「凛々乙女」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2010年1月24日読了】

女優小林聡美のエッセー。実際には彼女の著作第三作らしいのだが、エッセーとしては最初のものらしい。先に読んだ彼女の他のエッセー同様笑えるものが多い。飼猫のおとっつぁん(なんていう名前なんだ)がぬいぐるみにご執着という話題はうちの猫も同様なので、よく分かる。途中に挟まれている彼女自身が撮影した写真も良い味出してます。

K-17

「マダムだもの」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2009年12月26日読了】

小林聡美のエッセー。抱腹絶倒さ加減は1冊前に読了した作品の方が高かったが、これも疲れた頭にはかなり良い感じの笑えるエッセーとなっている。ご主人の三谷さんが笑える作品を作っているが、その妻もこんなところで才能を発揮していて、なかなか好感が持てる。他のエッセーもどんどん読みたい。

K-17

「マダム小林の優雅な生活
小林聡美
幻冬舎文庫

【2009年12月24日読了】

以前に彼女の別のエッセーを読んだことがあったので、面白いのは分かっていたが、このエッセーも大笑い物である。飼っている猫の写真もあったり、その猫のエピソードも笑えたり、ご主人の三谷さんも良い味出してるし、いや、もっと読みたい。

K-17

「東京100発ガール」
小林聡美
幻冬舎文庫

【2007年9月15日読了】

女優で、脚本家の三谷さんの奥様でもある小林聡美のエッセー。「やっぱり猫が好き」という深夜ドラマで見ていたものの、おもしろい女優という以外なにも彼女について知らなかったが、猫を2匹飼っていると知って、興味がわいて読んでみた。軽くて読みやすかったです。ちょうど三谷さんと付き合っていて、結婚する直前くらいから、結婚した頃に書かれた作品が収められています。

K-16

「愚か者の町」捜査官ケイト
ローリー・キング
集英社文庫

【2010年1月7日読了】

捜査官ケイトシリーズ第二弾。第一作の中でも読んでいる時に気になっていた部分だった、ケイトとリーのレズビアン関係だが、この作品ではそこまで気にならず、相手が異性でもいろいろな問題を抱えるから、あまり気にし過ぎてもしょうがないのかも、と思うようになった。前作の最後でケイトのパートナーであるアルが一目ぼれした相手とうまくやっているようで良かった。作品自体は「愚者」(フール)という存在が日本のキリスト教を齧ったことのない人にとっては難解だが、それ以外は人間の質を見極めて、きわめて人情的な関係で事件を解決した典型だといえる。

K-16

「捜査官ケイト」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2009年10月12日読了】

94年度エドガー・アラン・ポー賞受賞作品。ローリー・R・キングの他のシリーズは読んだことがあったが、それはシャーロック・ホームズのパスティーシュ物だったので、いわゆる時代物。この作品は現代物で、しかも女性捜査官が同性の女性とカップルという、物語の舞台がサン・フランシスコだけあって、かなり地域性を意識した話になっている。しかし、相手が同性でも異性でも、パートナーを大切に思う気持ちは同じだと思うので、そこはあまり気にならなかった。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子
公爵家の相続人」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2007年12月9日読了】

パスティーシュものの愛弟子シリーズ第六弾。前作の「エルサレムへの道」でホームズとラッセルと一緒に行動していた謎のパレスチナ人2人の謎が解き明かされる?第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のイギリスの貴族階級の不思議が垣間見れます。これはこれで面白かったけど、そろそろ疲れてきたかも。しばらくはこのシリーズから離れて、お休みしてみたいと思います。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子
エルサレムへの道」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2007年12月2日読了】

パスティーシュものの愛弟子シリーズ第五弾。時空列では、第一巻の間にラッセルとホームズがロンドンから姿を消していた時期のもの。その間2人はヨルダンに滞在をして、こんな経験をしていた、というお話。今ではイスラエルという国の場所だが、当時はまだヨルダンだったのか、という思いと、イスラエルという国の建国にまつわるさまざまな国の思惑が重い。今まで、あまり知らなかった歴史的事実を垣間見た感じがする。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子
バスカヴィルの謎」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2007年11月10日読了】

パスティーシュものの愛弟子シリーズ第四弾。今度は、以前ホームズが解決した「バスカヴィル家の犬」事件と同じダートムア地方が舞台。その事件の時にホームズが世話になったと言う、ベアリング=グールド牧師の家に世話になりながら、ホームズと一緒にラッセルが謎に迫る。「バルカヴィル家の犬」は読んだはずなのだが、記憶に無し。ドイルの作品を覚えていた方が、より面白く読める作品であること請け合い。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子
マリアの手紙」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2007年11月5日読了】

パスティーシュものの愛弟子シリーズ第三弾。内容も濃い。宗教色も強い。あと一応第一次世界大戦後で、第二次世界大戦前という時代も考慮しなくてはならないし、頭を使うシリーズだ。しかも、結構文章がこなれてなくて、読むのが大変…。波に乗ってしまうと先が知りたいのでどんどん進むが、波に乗れないと、読む気が失せる、とも言う。とりあえず手元にあるものは全部制覇しようとは思うけど、その先はどうするか、考えてみよう。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子
女たちの闇」
ローリー・R・キング
集英社文庫

【2007年11月3日読了】

パスティーシュものの愛弟子シリーズ第二弾。ホームズに思い入れがないだけ(とはいえ、それなりにドイルの作品でホームズ物は読んでいるが)、違和感が少ないのかもしれないが、最後には約40歳年の離れたメアリと結婚することになっている。びっくり。まあ、夫婦にしてしまった方が、続編を書きやすいのかもしれないが。メアリは21歳になり、遺産を相続し、かなりの金持ちとなった。オックスフォードでの研究も続けている。ホームズに対する自分の気持ちがはっきりしなくてイライラしている感じが微笑ましい。

K-16

「シャーロック・ホームズの愛弟子」
ローリー・キング
集英社文庫

【2007年8月16日読了】

知り合いがお勧めしてくれて、借りて読みました。お勧めしてくれなければ、全く知らない作品だったので感謝。ただし、状況説明が長かったり、いくつか気になる点はあったが、まあよしとしよう。パスティーシュものと呼ばれている分野の作品だが、コナン・ドイルのホームズと、そんなに違和感がなかったのが良かった。また弟子となるメアリの人物描写もしっかりしていて、続編に期待が持てる。

K-15

「愛の探偵たち」
クリスティー短編集9
アガサ・クリスティー
ハヤカワ文庫

【2009年10月17日読了】

ポワロ物、3つのミス・マープル物含め全部で8つの短編が収められている。最初の「三匹の盲ネズミ」は「ねずみとり」というタイトルで戯曲化されているそうだ。実はクリスティーはかなりの数の短編も書いている。ポワロ物、ミス・マープル物で纏まっていないのが不思議。ファンの人は全部の短編を読みたいものだと思うが。シリーズ物ではない物も結構面白い。

K-15

「ミス・マープルと13の謎」
アガサ・クリスティ
創元推理文庫

【2009年9月23日読了】

エルキュール・ポワロに並ぶ、クリスティの作り出した謎解き人物であるミス・マープルの活躍する短編集。活躍すると言っても、実際には話を聞いて、それを元に自分が知っている村の知り合いの場合に当てはめて考えてみて、そして謎を解き明かす、というのが彼女の謎解きの方法。彼女の家に集まったお客が一人ずつ話をして、皆で一人一人回答を述べ、誰が当たっているか、というものを短編集としてまとめたもの。後半はまた別の場所で集まった人々が話をするというスタイルを取っている。

K-15

「マダム・ジゼル殺人事件」
アガサ・クリスティ
新潮文庫

【2007年7月2日読了】

凄く久し振りにクリスティを読む。以前、それこそ学生の頃にかなりの作品数を読んだ覚えがあるのだが、この作品は初めて読んだ。もちろんクリスティなので、時代が少し古いといえばそれまでだが、その時代背景を理解して読むと、やはり新しい気がする。彼女は別名義で恋愛物なども書いたようだが、男女の恋愛感情を書いている部分は、ちょっと好みではない。ポワロ物。 別の出版社からは「大空の死」とか「大空の殺人」というタイトルで出版されていたりする作品。

K-14

「孫ニモ負ケズ」
北杜夫
新潮文庫

【2007年9月10日読了】

北杜夫さんの一人娘ユカさんの息子、ヒロ君に関してのエッセイ。ユカさんはOLエッセーを書いているので、てっきり独身女性だと思っていました(というか彼女のエッセーには父親のことや叔父のことは書かれていても、息子や旦那など、家庭に関しては全く触れられていなかったと思うので)。孫というのは、ジイジやバアバにしてみれば可愛いようですね。しかし、まず自分の子供すらいない状況を何とかしないとな。

K-14

「マンボウ交友録」
北杜夫
読売新聞社

【2007年6月27日読了】

北杜夫が個人的に交友している人々について書いたエッセー。遠藤周作、佐藤愛子、阿川弘之、辻邦生、奥野健男、埴谷雄高、なだいなだ、矢代静一、星新一、宮脇俊三、どくとるマンボウについて書かれている。躁鬱状態が交互に現れるという話を堂々と書いているのはいいのだが、全てをそのせいにしていて、また同じ内容について何度もくりかえし書かれていて、余りにも好き勝手し放題、というイメージが。書かれている人たちも有名なのに、遠藤周作、星新一、宮脇俊三以外は読んだことがなかった。だからと言って、これを読んだから、彼らの作品も読むかと言われたら分からない。

K-13

「まま子 実の子 河童ン家」
風間茂子
文春文庫

【2007年5月7日読了】

舞台美術家で「少年H」の作者の妹尾河童さんの奥様が旧姓で書かれたエッセイ。もともと河童さんのことは、本業である舞台美術ではなくヨーロッパ旅行をされた時に泊まった部屋の見取り図が書かれた文庫を読んで知っていた。茂子さんは表題からも判断できるように2番目の奥様で、河童さんと死別された前夫人との間のお嬢さんと実の息子さんを育て上げた素晴らしい方。しかもご主人の職業が普通のサラリーマンではないため、苦労なさったと見受けられる。しかし、苦労を苦労と書かれていないため、楽しい読み物となっている。最後にお嬢さんと息子さん、それぞれの言い分が掲載されているのが良い。

K-12

「猫丸先輩の推測」
倉知淳
講談社
NOVELS

【2007年2月19日読了】

猫丸先輩という不思議な人物が日常の不思議さを推理していく短編集。しかし、この猫丸先輩自身が物凄く不審人物っぽく、変。やたらとおしゃべりで、はっきり言ってうざい。毎回確かにそういう考え方もあるか、という目から鱗の考え方もあるのだが、毎回不審人物的に登場して、いきなりわかった風なことをしゃべって、頼まれて種明かし的に話すと言うパターンが気に食わなかった。

K-11

「消えた人達」爽太捕物帖
北原亞以子
文春文庫

【2010年8月18日読了】

「昨日の恋」の続編。「昨日の恋」がかなり前の作品だったので、続編が出るとは夢にも思っていなかった。しかし、続編が期待違わず、面白い作品だったので満足。また何年かかってもいいので、これの続編が出ないものだろうか。期待したい。

K-11

「夢のなか」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2009年12月9日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ。もう何冊目かも分からない。それぞれ短編だが、慶次郎やお登勢、佐七など常連の登場人物を一人絡めて話を進めていて、安心感がある。ただし、常連の登場人物たちの人間関係が変化したりはしていない。安心して読めるシリーズだが、シリーズ自体の話が進んでいる感じはない。まだ文庫になっていない部分があるので、ゆっくり読みたい。

K-11

「雪の夜のあと」
北原亞以子
読売新聞社(ハードカバー
)

【2009年10月15日読了】

「その夜の雪」と「慶次郎縁側日記」シリーズの間に当たる慶次郎の長編物。ある意味、慶次郎縁側日記の傍系に位置するかもしれない。というのも、この作品を読まなくても、「傷」から始まるシリーズを読んでいっても十分に楽しめるからだ。でも、やはりこの作品があるのを知っていて読まないのは抵抗があるので、入手して読んでみた。縁側日記シリーズは基本的に短編連作なので、長編は読み甲斐があった。いくら養子の子どもでも、やはり孫は可愛いもんなんだ。慶次郎は40代のはずだが、孫を可愛がり、隠居生活を楽しんでいる。まだここには花ごろもの女将お登勢は登場していない。

K-11

小説春日局」
北原亞以子
角川文庫

【2009年10月5日読了】

江戸時代の市井物を得意としている北原さんが、このような「大奥物」を書いているとは知らなかった。手に入りにくかったが、読んでみて良かったと思う。確かに他の人が書いた春日局の話も読んでいないので、実際には違いはよく判らないものの、すんなり物語に入っていけた。

K-11

「妻恋坂」
北原亞以子
文春文庫

【2009年3月21日読了】

北原さんの著作はほっこりできるものが多いので、なんとなく読んでいて安心できる。凄く面白いとか、そういう感想はないけど。1編を除いて全て女性が主人公の短編集。時代物で軽いものが読みたくなった時にちょっと手にとってみるといいかもしれない。

K-11

「赤まんま」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2009年1月27日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ。最初の頃は元岡っ引きの慶次郎の娘が殺されて、養子が来て、その養子が嫁を貰い、孫が出来、慶次郎の身辺の変化があったり、元々仏の森口と呼ばれていた慶次郎に持ち込まれる事件などの解決が主だったけれど、この巻に至っては、シリーズの登場人物たちが町の人たちの問題を聞いてやる姿勢が貫かれている。更にシリーズは続く。

K-11

「銀座の職人さん」
北原亞以子
文春文庫

【2008年8月15日読了】

雑誌に連載された、銀座に関係のある職人さんを訪ねて行って、お話を伺い、その話を北原さんがまとめたもの。銀座に関係がある職人さんでも、職場は銀座付近ではないので、いろいろなところに出かけているのも面白い。手作りのものは高級品で手が出ない、と唸らされる本でもあると思う。

K-11

「お茶をのみながら」
北原亞以子
講談社文庫

【2008年4月25日読了】

歴史小説(というか江戸物)を書いている北原亞以子さんのエッセー集。しかし、一つずつの話が短すぎるのか、ちょっとまとまりがない感じになっていて残念。色々な賞を受賞されているものの、最初に取った新人賞のあと20年間何も受賞されていず、その間の苦労なども書かれていて、人間色々あるんだなあと思わされた。

K-11

「東京駅物語」
北原亞以子
新潮文庫

【2008年1月26日読了】

グランドホテル形式で書かれている連作短編集。明治から昭和にかけての時代を東京駅を中心に、ちょっとずつ登場人物が重なり合って続いている連作で、時代もちょっとずつずれているのが特徴。しかし、最初に出てきた人が結局どうなったのかなどという些細なことが気になる人には、ちょっと不評かもしれない。しかし、作者の時代物しか読んだことがなかったので、(正式には現代物ではないものの)こういうものも面白いと思った。

K-11

「夜の明けるまで−
深川澪通り木戸番小屋」
北原亞以子
講談社文庫

【2007年11月14日読了】

木戸番小屋シリーズ第四巻。2005年 第39回 吉川英治文学賞受賞作品。シリーズ第一巻が泉鏡花賞受賞作品であることを考えると、このシリーズだけで著名な文学賞を2つも受賞していることになる。凄い作品です。江戸・深川の木戸番小屋夫婦笑兵衛とお捨とその周りの人々を描いた作品。江戸時代の市井ものを得意とする北原さんらしい、ほっとする連作集。

K-11

「やさしい男」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年11月12日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第7巻。安心して読めるシリーズ物。蝮の吉次が活躍する作品があって嬉しい。結構ぬるま湯っぽくて、特に慶次郎と花ごろものお登世の仲が進むとか、慶次郎の孫の八千代が出てくるとかもなく、事件らしい事件もない。慶次郎は人が良いだけで、周りが色々手伝ってくれるから上手くいってるだけ、という見方もできるか。

K-11

「昨日の恋」爽太捕物帖
北原亞以子
文春文庫

【2007年10月3日読了】

以前読んだものの再読。芝口の鰻屋「十三川」に引き取られ、入り婿となったものの、鰻が苦手で掴めない、岡っ引爽太シリーズ。シリーズといってもこの1冊しか出てないし、今更作者がこのシリーズの続きを書くとも思えない。爽太は26歳と若い設定だが、連作短編集で、同じ作者の慶次郎シリーズと同じ感じ。爽太が主役で出てくるのではなく、狂言回し的な役割。

K-11

「脇役」慶次郎覚書
北原亞以子
新潮文庫

【2007年9月10日読了】

慶次郎縁側日記シリーズの脇の登場人物にスポットを当てて書かれた作品を集めたもの。シリーズでも慶次郎が主人公でない作品が良くあるが、この作品集に収められているものは、それぞれの脇役たちが自分の人生を振り返り、しっかりと心情を吐露している。欲を言えば、お登世編とか、晃之助編があったら面白かったのに、と思う。

K-11

「深川澪通り木戸番小屋」
北原亞以子
講談社文庫

【2007年7月22日読了】

木戸番小屋シリーズの一番最初の短編集で、泉鏡花賞受賞作品。実は、シリーズの2冊目、3冊目を読んでいるのに、1冊目を読んでいなかったんですよ。全ての謎は1冊目に書かれていたとは。やられた。お捨さんと笑兵衛さんのご夫婦が、昔辛い思いをして一緒になったということは、続きの作品にもなんとなくは書かれていたけど、1冊目に詳しく書かれています。心にしみる作品。

K-11

「隅田川」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年6月10日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第6巻。ますます慶次郎が出てこなくなり、それにつれて登世も出てこず、代わりに養子の晃之助がしょっちゅう出てくるようになった。また岡っ引きの辰吉が前のかみさんを忘れられず一人でいたのに、訳ありの女とくっついたことになっていた。びっくり。しかも、それが慶次郎の娘が自殺をした原因を作った男の娘だったが、慶次郎も晃之助も黙認しているあたり、皆人間が出来すぎている気がする。

K-11

「蜩」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年6月7日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第5巻。主人公のはずの慶次郎が活躍する話は本当に少ない。これはそれぞれの登場人物がしっかり書かれているため、主人公がいなくても話が出来上がるからなのだろう。いつの間にか慶次郎となじみの登世の仲も進んでしまったようだし、はっきりは書かれていないものの、ちょっとずつ時間が経っているらしい。今回びっくりしたのは蝮の吉次親分が妹夫婦の蕎麦屋の2階から女のところに移った話があったこと。その後どうなったのか気になる。

K-11

「花冷え」
北原亞以子
講談社文庫

【2007年5月29日読了】

時代小説7編を集めた短編集。殆どが江戸の市井物だが、一つだけ戦国時代の話が入っていて異色を放っている。暗い話ばかりかと思っていたが、そうでもなく、行く先が明るくなるかもしれない、と思わせてくれる話もある。女の意地を書いた話は、そこまで突っ張らなくても、と思ったりもした。

K-11

「その夜の雪」
北原亞以子
新潮文庫

【2007年5月26日読了】

7つの短編の入っている作品集。表題作は慶次郎縁側日記シリーズの第一作でもある。寂しい江戸庶民の様々な生き方を書いている。どちらかというと、人生の裏側みたいな作品もあるが、これからがんばりましょう的なものもあったりして、妙にまとまりがない感じがする。ただし江戸の庶民を書かせると北原さんは素晴らしいと思う。

K-11

「新地橋」
深川澪通り木戸番小屋
北原亞以子
講談社文庫

【2007年5月21日読了】

深川澪通り木戸番小屋に住む夫婦を中心としたシリーズ第三巻。この夫婦の元の身分が不明ということにはなっているが(でも薄々分かっている)町内の人々から頼りにされており、人々をそっと助ける心温まる感じで人気を博しているらしい。確かに町内の人々が集まってきて、中心になっている感じがする。第一作を読んでいないのでなんとも言えないが、そのうち第一作も読まなくては。

K-11

「峠」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年3月29日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第四弾。最初の「峠」という作品がことの他長く(これだけ中篇)、なかなか物語に入れなくて難儀した。シリーズ物で、ここまで読んできたので、この先も読むつもりではいるが、きちんと事件が解決するわけではなく、人情物として読んだ方が当たりな気がする。

K-11

「おひで」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年3月24日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第三弾。慶次郎は50近くなのに、40そこそこに見えて、更には養子だが倅は町娘が一目ぼれをするくらいの良い男で、その嫁は慶次郎の娘のことも全て分かって嫁いで来ているという、これまた出来た女である。こんなに皆良いとこ取りの人間達が集まるのも、慶次郎が作者の理想の男性像だからなのだろうか。

K-11

「再会」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年3月23日読了】

慶次郎縁側日記シリーズ第二弾。いつも慶次郎が活躍するわけではなく、慶次郎と関係のある登場人物が出てきて、ちょっとだけ慶次郎が出てくる、とか、ちょっとだけ倅の同心が出てくるとか、岡っ引きが出てくるとか、そんな感じ。しかも、どちらかというと人間関係や人情ものという方を重要視しているので、何か事件があっても特に解決はしない。

K-11

「傷」慶次郎縁側日記
北原亞以子
新潮文庫

【2007年3月22日読了】

前から読もうと思っていたシリーズの1巻目。何故か私は慶次郎を若い人だと思い込んでいたのだが、実は定町廻りの同心を引退したばかりの人だった。確かにタイトルから考えても若い人に「縁側日記」は似合わないかも。ははは。最初の「その夜の雪」がかなりショッキングな始まり方だったのだが、その次の「律義者」では既に数年過ぎているようで、その間の慶次郎の心理状態が読んでみたかった。

K-11

「深川澪通り燈ともし頃」
北原亞以子
講談社文庫

【2007年2月7日読了】

1989年に第17回泉鏡花文学賞を受賞した「深川澪通り木戸番小屋」の続編で「藁」と「たそがれ」の2つの中篇から成っている。「〜木戸番小屋」を読んでいないままこちらを先に読んでしまいましたが、まあ、大体話は通じました。もちろん先にちゃんと読んでいたら、もっと話がスムーズに分かったのかもしれないけど。機会があったら、ぜひ本編の方も読んでみたいと思います。

K-10

「秀吉の枷」上下巻
加藤廣
日本経済新聞

【2006年12月30日読了】

同じ作者による「信長の棺」という作品を以前に読んで、続編と言うか、時代が重なっていて、同じ歴史の視点から書かれた秀吉像が読みたかったので、知り合いから借りて読んでみたが、「信長の棺」の方が物語としての作り方が上手く、何倍も面白かった。こちらの作品は、単に時系列に起こったことを羅列して書いているだけ、という感じがぬぐえなかった。残念。

K-9

「地下室からのふしぎな旅」
柏葉幸子
講談社文庫

【2006年12月23日読了】

日本の作家の書いたファンタジーと言うと「誰も知らない小さな国」(佐藤さとる)が有名ですが、それに続く期待の星、として70年代にデビューしたのがこの柏葉さんだったらしいです。でも、やっぱり佐藤さとるの素晴らしさには一歩も二歩も追いつかないかな、というのが正直な感想です。

K-8

「警視の覚悟」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2011年5月11日読了】

警視キンケイドシリーズ第11弾。これはもうミステリーのシリーズ物ではなく、ダンカン、ジェマ、キットの家族物語だと思う。そこに、ダンカンとジェマの職業が警視と警部補なので、事件が絡んでくる、と。今回はダンカンの実家でクリスマス休暇を過ごすためにやって来たら、事件に巻き込まれた。職業病かもしれないが、ダンカンもジェマも事件が気になって仕方がない。でも、自分達の管轄外なのだから、大人しくしてればいいのに。子供たちは大人の知らないところで色々なことをやっている。イギリスもこんなに運河があるとは知らなかった。

K-8

「警視の孤独」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2010年12月20日読了】

キンケイドとジェマ・シリーズ。スコットランド・ヤードの警視と元部下で私生活のパートナーのカップルの行方が気になって読み続けているシリーズ。それぞれの連れ子との4人の生活だが、キンケイドの息子のキットの親権を祖母である、元妻の母親が取ろうと裁判に持ち込んでしまったが、事件捜査のため、審問会にキンケイドガ出席できず、不利な状態に。それとは別に今回はとある議員の持ち物である倉庫で不審火があり、放火の可能性も捨てきれないまま、さらには女性の死体も発見され、謎が二重にも三重にも入り組んで、結構難しい謎解きだった。

K-8

「警視の週末」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年9月19日読了】

スコットランドヤードのキンケイド警視シリーズ第9弾。今回はキンケイドのパートナーである(元部下の)ジェマが、彼女の前の大家で親友のヘイゼルと共に、彼女の出身地であるスコットランドに週末を過ごすために出かけ、そこで出会った事件。次々と明らかになるヘイゼルの過去。ジェマはヘイゼルに関して何も知らなかったと実感。キンケイドももちろんジェマを助けるためにやってくる。キンケイドの息子、キッドとの関係もどうなるのかお楽しみ。

K-8

「警視の不信」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年4月7日読了】

キンケイドとジェマのシリーズ第八作。ジェマが転勤したノッティング・ヒル署の近くに皆で一緒に引っ越すことになったキンケイドとジェマ(と各人の息子達と犬と猫)。引越しの最中に殺人事件が。お腹の子供のこともあり、キンケイドはかなりジェマのことが心配に。自分が捜査していた2ヶ月前に起こった殺人事件と今回の事件が酷似していることに気が付いて、公式的に捜査に参加。しかし、ジェマの他人を放っておけない性格が災いし、流産してしまう。殺人事件も解決はしたのだが、この後、この「2つの家族」がどのように1つの家族になるのか、見守りたい。

K-8

「警視の予感」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年4月5日読了】

スコットランドヤードの警視であるキンケイドとその部下の女性巡査部長であるジェマの活躍するシリーズ第七作目、のはずだったんですが、なんとジェマが昇進して、警部補になり、研修を受け、ノッティング・ヒル署に転勤になってしまったのだ。しかし、キンケイドの従兄弟から、彼の恋人が交通事故に巻き込まれ、また別の理由もあって呼ばれ、週末をジェマと過ごすために2人はその場所へ。ジェマとキンケイドの関係が大きく変わる予感も。だんだんいい感じになってきましたね。謎解きは難しいですが。キリスト教が分からないと大変そうだ。

K-8

「警視の接吻」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年4月2日読了】

スコットランドヤードの警視であるキンケイドとその部下の女性巡査部長であるジェマの活躍するシリーズ第六作目。キンケイドが亡くなった元妻の息子と休日を過ごそうと、駅に彼を迎えに行った時に事件が起こったという知らせが。キットとの関係も上手くいかず、終いには自分が本当の父親だと言ってしまう。事件の方も中々捜査は進展せず、ジェマとの間も違和感が…。結局はジェマは魅力を感じた男性には走らず、キンケイドの元に戻り、キンケイドが努力を続けた結果、キットも少しずつ彼を受け入れ始めたようだ。更に続きで人間関係がどのように変わっていくのか、乞うご期待。

K-8

「警視の死角」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年3月30日読了】

スコットランドヤードの警視であるキンケイドとその部下の女性巡査部長であるジェマの活躍するシリーズ第五作目。ジェマとの仲も上手くいくようになり、彼女の三歳になる息子のトビーとも上手くいっているキンケイドに元妻のヴィクから約12年ぶりに電話がかかり、ある依頼をされた。その後、ヴィクが殺されたことから、5年前の詩人の死にも疑問が出てきて、最後には…。なんと、キンケイドに息子が登場。本人も息子のキットも知らない事実だった。今後どのようにジェマとの関係も進んでいくのか、続編に期待。

K-8

「警視の愛人」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年1月12日読了】

スコットランドヤードの警視であるキンケイドとその部下の女性巡査部長であるジェマの活躍するシリーズ第四作目。第三作の最後で幸せな一夜を過ごしたキンケイドとジェマなのに、ジェマの意地っ張りからキンケイドを避ける態度に出る。しかし、仕事は一緒にこなさなくてはならず、ジレンマに陥るジェマ。損してるよなあ、彼女も。キンケイドは相変わらず我が道を行っているが。最後にジェマは悟りを開いたようだ。

K-8

「警視の秘密」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2007年1月10日読了】

スコットランドヤードの警視であるキンケイドとその部下の女性巡査部長であるジェマの活躍するシリーズ第三作目。上層部に依頼が入った、上流家庭の不審な死を捜査することになった2人。上流家庭の住んでいる地方都市とロンドンでの捜査がほぼ交互に出てきたり、オペラ劇場の話が絡んでいたり、イギリスという階級社会制度が残っている部分が見えたり、色々苦労して書いているのが分かる。そして、2人の関係にも変化が?最後に次の第四作につながる形で大きな変化が。先を読むのが楽しみ。

K-8

「警視の隣人」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2006年12月13日読了】

ニュースコットランドヤード(ロンドン警視庁)のエリート警視であるキンケイドと彼のアシスタントとも言うべきジェマが活躍するシリーズの第二作。キンケイドの住むアパートの1階に住んでいた女性が死亡した。その死因に疑問を持ったキンケイドがジェマに助けを頼んで、自殺か他殺かを解決する。1作目と違い、ジェマとキンケイドの関係が微妙になってきて、先の展開が気にな る。しかし、確かに穿り返さないでも良い過去というものはあるのかも、と思った。

K-8

「警視の休暇」
デボラ・クロンビー
講談社文庫

【2006年12月11日読了】

ニュースコットランドヤード(ロンドン警視庁)のエリート警視であるキンケイドが遅めの夏季休暇をとるべく滞在していたホテルで殺人事件が起こり、地元の警察からはよそ者扱いされ、ホテル滞在客からはスパイ扱いされる。意外な宿泊客同士の関係が明るみに出てくるのだが、キンケイド、女性に惚れっぽい気がするんですけど。キンケイドのアシスタントとも言えるジェマやホテルの滞在客であるハンナとの関係に注目です。作者がテキサスに住むアメリカ人女性と聞いて、びっくり。てっきりイギリス人かと。しかし、よく考えたら、あっけらかんとした作風はアメリカ人かも。イギリス人だったらもう一ひねりあるかな。

K-7

「サンクト・ペテルブルグ」
よみがえった幻想都市
小町文雄
中公新書

【2006年7月27日読了】

ロシアに関連する(政治、経済以外の)書籍はなるべく読みたいと思っているのだが、なかなかそうはいかない。しかし、これは丁度新書で読みやすそうだし、あまり良く知らないサンクト・ペテルブルグの話なので、面白そうだと思って読んでみた。知っていることも書かれていたが、知らないことがたくさん書いてあって面白かった。ちょっとしたガイドブックにもなると思うので、ピーテルに興味のある人は読んでみた方がいいかもしれない。この本で新しく知った、見ておきたい建物を、ぜひ次回ピーテルに行った時に見てこようと思う。

K-6

「冒険の国」
桐野夏生
新潮文庫

【2009年4月30日読了】

デビュー前の88年に「すばる文学賞」に応募し、最終候補作に残ったが、受賞作なしだった作品。なんとなく読後に物足りなさが残った。しかし、桐野ファンからしてみれば、嬉しい作品なのではないだろうか。

K-6

「魂萌え!」上下巻
桐野夏生
新潮文庫

【2008年3月17日読了】

桐野夏生の婦人公論文芸賞を受賞した作品。昨年入手していたが、実家の不幸の直後で、最初の葬式の場面で先が読めなくなって、本棚で眠っていたものを引っ張り出して読んでみた。これが普通に読めるようになるとは、人間変わるものですね。それと同様に、主人公も夫が心臓発作で突然死んでしまった後、それまでとは違う自分に、自分で驚きながら変わって行く様子が描かれています。ちょっとご都合主義かも、とも思う部分がありますが、それでも読んで損はないと思います。

K-6

「ローズガーデン」
桐野夏生
講談社

【2008年2月20日読了】

村野ミロという女性が探偵業をしているシリーズの番外編的な作品集。4つの話が入っている。表題作はミロの海外赴任していて自殺した夫が赴任地でミロとの出会いから結婚までを思い出す、というシリーズのファンからしたら、今まで語られることのなかったサイド・ストーリーで、しかも夫の視点で語られる高校時代のミロというおいしい話。残りの3つの作品もミロの話。
K-6 「ジオラマ」
桐野夏生
新潮文庫

【2006年9月24日読了】

こちらも短編集。9作品のうち、2作品が日独のハーフ、カール(日本名はユウリ)が主人公の物語。珍しく巻末に作者自身による、各作品の短い説明が付いてます。それによると、短編とは作者にとって、地面の石をひっくり返した裏側のようなものであるとのこと。石の下には全く違った世界が広がっている、それを切り取って書き表してみたいのだとのこと。長編は更にそれを深く掘り下げること。かなり辛らつな心理描写とかステレオタイプの人間を書き表すのがきつい、桐野さんならではの筆が冴えてます。「蜘蛛の巣」が怖かった〜。
K-6 「錆びる心」
桐野夏生
文春文庫

【2006年9月22日読了】

これは人間の心のひだに潜んだ狂気を書き表したホラー、とでも言おうか。短編が6編収められている本だが、どれも短いながらも読み終わった後に、人間って怖い、と思わされる作品ばかりが並んでいる。「思い込み」であるうちは問題がないのだろうけど、「思い込み」ではなく、それを「真実」だと信じてしまうことは怖い。しかし、誰もが一歩間違えるとその世界に生きてしまうのかもしれない。

K-6

「光源」
桐野夏生
文春文庫

【2006年7月17日読了】

桐野作品はいくつか読んでいるけれど、この作品は映画制作にまつわる話で、殺人とかは出てこないけれど、人間関係が複雑で、プライドと感情の行き違いがいかに人間関係を崩していくか、というある意味ホラーでした。映画関係者って範囲がかなり狭いから、皆が知り合いで、結構怖いですね。

K-5

「チーズスイートホーム」8巻
こなみかなた
講談社

【2011年5月16日読了】

相変わらずの子猫騒動物語。実際にはすぐに大きくなっちゃうんですけどね、猫も。でも、さすが漫画だけあって、なかなか大きくならないチー。家から出て行っても戻ってこれるようになっただけ安心ですな。

K-5

「チーズスイートホーム」7巻
こなみかなた
KCデラックス

【2010年6月29日読了】

もうこのシリーズも7巻まで来たかと思うと、ちょっと感慨深いかも。でも、ずっとチーが小さいままで、そんなはずはないだろうよ、と思う。そろそろ身体を大きくしてみてはいかがだろうか?大きくなっても猫は皆可愛いからね。
K-5 「チーズ・スイート・ホーム」
1−4巻
こなみかなた
講談社

1−3巻【2006年5月読了】
4巻
【2007年9月6日読了】

これは迷子の子猫とそれを拾った3人家族の様子をほんわか描いた漫画です。漫画だからと言って、馬鹿にしてはいけません。ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。確かに猫ってこういうことやるよね〜、って思いながら読んだり、猫がこういうこと考えてたら面白いなあ、と思ったりします。それだけではなく、都会で猫を飼う難しさも描かれています。この先も続くはずなので、新しい巻が出たら、それも読みたいです。
K-4 羊皮紙に眠る文字たち
〈スラヴ言語文化入門〉

黒田龍之助
現代書館

ISBN−7684−6743−1、価格:2300円(2002年10月購入)

面白かった。そこまで期待をしていたわけではなかったけど、凄く面白かったです。実は日本に帰る度に、かなりの量の書籍を購入していて、その一部はいまだにロシア関係のエッセイやロシア語に関するものだったりします。今回も、とある大型書店の語学コーナーで物色していた時に、この本を見つけました。タイトルからは判別するのはちょっと難しいのですが、ロシア語に使用されているキリル文字の歴史や、ロシア語が属しているスラブ諸語(ロシア語に似ているセルビア語やポーランド語、ブルガリア語など)の関係などが、そんなに難しい専門用語を余り使わずに、一般の人にも興味を持ってもらえるように書かれています。ロシア語に興味のある方が読んだら、面白いと思いますよ。でも、文法書ではないので、ロシア語は判るようにはなりませんので、ご注意!です。

実際に私がポーランドに旅行に行った時やセルビア語をかじった時、またブルガリア人同士の会話を聞いた時に感じた「かなりロシア語に似ているけど、実際に勉強したら、似ているだけに大変なんだろうな〜」という感想を裏付けるような話とかも出てきたりして、管理人実体験済みでかなり著者に親近感が(笑)。大学院まで終了されて、更には大学の助教授の方に、そんな感情を持つ方がだいそれておりますが…。

お勧め度:★★★★+

K-3 劇場通り」
タマーラ・カルサーヴィナ
訳:
東野雅子
新書館

ISBN−403−23025−3、価格:3800円(2002年10月購入)

この本はタマーラ・カルサーヴィナという20世紀の初頭にニジンスキーの相手役として知られていた、サンクト・ペテルブルグのワガノワ・バレエ学校出身のバレリーナが書いた自伝です。私は20世紀初頭のディアギレフが組織した、バレエ・リュス(ロシア・バレエ)に興味があったので、今までも色々と関連書籍を漁っていましたが、今回やっとこの「劇場通り」を入手して読むことが出来ました。

彼女は、彼女よりも少し年上のアンナ・パーブロヴァに比べると地味な存在かもしれませんが、ディアギレフとの共同作業に長年従事した、珍しいバレリーナの1人です。ディアギレフはかなり勝手な人だったらしく(逆にそうでなければ、あれだけの偉業はやり遂げられなかったと思いますが…)、かなりの人達と仲間割れや喧嘩別れをしています。その中で、彼女の存在は目を引いたので、一体どのような人かなあ、と興味が沸いてきた訳です。

この自伝は、彼女の最初の記憶から、1917年のロシア革命の直後に祖国を脱出して、英国人外交官であった彼女の夫の国に向かうところまでが書かれています(その後78年に没するまで、引退した後も英国でバレエに関連する仕事に従事)。後に、ディアギレフが亡くなった時に、ディアギレフに関する最終章が付け加えられました。一番注目に値することは、彼女がこの本を母国語であるロシア語ではなく、英語で書いたことだと思います。翻訳の素晴らしさも手伝って、そんなことは微塵も感じられませんが…。

1900年代初頭の当時のワガノワ・バレエ学校の様子や、劇場関係者の様子が生き生きと描かれていて、興味がかき立てられます。その後の革命に向かって周囲の様子が変化していくところなども、興味深いものがあります。自伝という割には、自分に関する記述が少ないような気がしないでもありません。外国人であるご主人とはいつ結婚したのか、どのようないきさつだったのか、など、そこらへんもちょっとミーハー心も手伝って、知りたいなあ、と思ったりもしました。また、子供を産んだ時の話も、女性として、またバレリーナとして(キャリアとの関連において)、どう思ったのか、知りたかったです。

しかし、本の値段がね…。一般に売れるとは思われないので、しょうがないのですが、高かったです〜。興味のある方は、図書館で購入希望を出して、購入してもらうのもテかもしれません。

お勧め度:★★★+

K-2

「邪馬台国はどこでか?」
鯨統一郎 
創元推理文庫
厳密に言ったら、これは推理小説ではないと思うのです。しかし、こういう考え方もあるんだよ、という発想の転換が目からウロコの作品集です。邪馬台国の場所、仏陀の悟りを開いた時期、聖徳太子の正体、明治維新の黒幕、イエス・キリストの復活、本能寺の変について面白い意見交換が、とあるバーでなされているという形です。話し手の注文する食事メニューも美味しそう。

K-1

「語り女たち」
北村薫
新潮文庫

【2009年12月19日読了】

現代の北村薫風千夜一夜物語とでも言える女性が語るお話が17編。さまざまな年代の、さまざまな境遇の女性がさまざまなことについて語る。不思議な感覚の北村薫ならではの話も多い。恋の話あり、親子の話あり、不思議な現象についての話あり。自分の好きな話を見つけるということも出来るかもしれない。

K-1

「鷺と雪」
北村薫
文藝春秋(ハードカバー
)

【2009年12月7日読了】

女性運転手とお嬢さんの昭和初期シリーズ第三弾。直木賞受賞作品。しかし、シリーズ物なので、是非1巻目の「街の灯」から通して読んでもらいたい。主人公もだんだん成長していて、気になる男性も出てきたりしたが、今とは違う時代。それぞれの短編が連なって、このお話がどこに向かっているのか、まさに時代が主役なのか。英子さんのこれからが知りたいような、知りたくないような。逆にここで話が終わっていることで、作者は読者に何かを訴えたかったのかもしれない。

K-1

「玻璃の天」
北村薫
文春文庫

【2009年12月6日読了】

女性運転手とお嬢さんの昭和初期シリーズ第二弾。第三作が直木賞を受賞したもの。この作品には3つの物語が収録されていて、ベッキーさんこと、別宮みつ子という運転手の過去が少しずつ明らかになる。相変わらず、日常の謎解き作品としては質が高い。その上、昭和初期の上流の家族の雰囲気が伝わってくる。それでも主人公の家はかなり自由が利くと思われる。シリーズ最後の作品で、話がどう纏まるのか楽しみ。

K-1

「街の灯」
北村薫
文春文庫

【2008年11月3日読了】

昭和7年に学習院女子をモデルとした学校に通う少女の目を通して、別宮という女性運転手とのかけあいにより、日常の謎を解いていく連作集。主人公は別宮さんを、サッカレーの「虚栄の市」の登場人物になぞり、ベッキーさんと呼び、彼女自身の明らかにならない過去も 、これから解明されていくのでは、と続きにも興味がつのる。

K-1

「冬のオペラ」
北村薫
中公文庫

【2007年4月8日読了】

北村薫の初期の短編連作集にありがちな、若い女性と年上の男性の組み合わせの、日常の謎から殺人事件までの謎解き物語。短編と中編2作品。あゆみが叔父の会社で事務員と働くようになった経緯なども、ちらっちらっと書かれてはいるものの、はっきりとは書かれていず、気になる。雰囲気としては続編があってもよさそうなものだが?

K-1

「朝霧」
北村薫
東京創元社

【2007年2月16日読了】

円紫さんと私シリーズの第五弾。今回は長編ではなく、短編が3編。シリーズ中ずっと大学生だった「私」も卒業して、アルバイトをしていたみさき書房に勤め始める。表題作「朝霧」では「私」のおじいさんが大学生だった時の日記を読んでいて、その中の不思議な文章を解読する。丁度12月で円紫さんの高座も忠臣蔵。ということは…。このまま続きがあるのかないのか、あってもなくてもいい感じで終わっています。しかし、このシリーズの第一作は北村 薫さんのデビュー作ということで、その主人公も大学を卒業してしまい、時の流れを感じます。

K-1

「秋の花」
北村

創元推理文庫

【2007年2月15日読了】

円紫さんと私シリーズの第三弾。ずいぶん昔に1作目と2作目、4作目を読んでいたのだが、すっかり忘れていたので、思い出すのに時間がかかった。今までの作品は日常生活の中の不思議を解明するというスタンスだったのだが、この作品は「私」の後輩の女子高生が謎の死をとげていて、かなりハードな感じ。しかし、いつもの北村 薫さんの優しい感じでまとまっている。

K-1

「月の砂漠をさばさばと」
北村薫
おーなり由子・絵
新潮文庫

【2007年1月31日読了】

ずっと前から読みたかった、9歳の少女とその母親の12編の物語。面白かった。題名になっている「月の砂漠をさばさばと」という言葉が、あんな続きになってたなんて!思いもよらなかったわ〜。これは読んでのお楽しみ。どちらかというと児童文学の区分けになると思うけれど、読むと心がほんわかする12編の物語です。おーなりさんの描くイラストも雰囲気があって、とてもこのお話に合っていると思いました。

K-1

「ターン」
北村薫
新潮文庫
これもほのぼの系ミステリー作家北村薫さんの作品。時間もの3部作の一つ。ほのぼの系なんだけど、色々考えさせられました。しかし、毎日自分がやったことが後に残らないで日々が過ぎていき、自分以外に誰もいない世の中というのは怖いです。自分を自分で傷つけてもまた元に戻ってしまう。絶望以上のものがあるのに、そこまで悲惨さを感じなかったのは、主人公があくまでも前向きだったからなのでしょうか。

 

 

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